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あつた人#17


Profile

岩田 康行
いわた やすゆき
株式会社岩田三宝製作所 専務取締役
神具サイト
SANBOUサイト
NUSAサイト

熱田から全国へ。新分野の商品を発信

神道の神事に用いられる三方(さんぽう)を、江戸時代中期から作り続けています。三方とは、神社や家庭の神棚に供える神饌(しんせん)を載せる台のことで、当社では木曽檜木材に鋸目を入れて曲げる「挽き曲げ」と呼ばれる伝統的な加工技術を活かして作り上げています。そうした古き良き伝統工芸品を大切にしつつ、三方づくりの技術を現代の生活様式に活かしていこうと、2015年から生活用品の開発・製造に取り組んでいます。
その初期の代表作、天然檜へのこだわりを反映した「SANBOUボトルクーラー」は、2019年に名古屋で開催された「G20愛知・名古屋外務大臣会合」で各国大臣への贈答品に採用されています。それをきっかけにして2021年には独自の生活用品シリーズ<NUSA(ヌサ)>ブランドを立ち上げ、ヒノキ特有の抗菌性を生かした「お弁当箱」や組子コースターなど数々のキッチンウェアを開発し、全国に向けて発信しています。

「あつた宮宿会」入会で、熱田区の魅力を再認識

最近では、自社の加工工場から発生するヒノキの廃材、カンナ屑を利用としたアロマディフューザーやフラワーアートにも挑戦しています。それを異業種交流という形で実現できないものかと模索する中で、「あつた宮宿会」の会員の方から入会を勧められました。コロナ禍でありながら、会の皆さんが朔日市や花火などで熱田を盛り上げていこう!と尽力されていると伺い、そのパワーに心を揺さぶられ、即入会を決断。活動に参加させていただくと、会社も祖父母の実家も熱田区内にありながら、どれだけ自分は熱田のことを知らなかったんだろうと改めて思い知らされました。
当社は木工産業ですから、気になるのは材木のこと。堀川沿いに材木問屋がたくさんあることは知っていましたが、渡場(とば)があり木材の貯木場(白鳥貯木場)があったなんて、うかつにも知りませんでした。白鳥庭園の歴史館で調べてみると、そこから名古屋城下の産業の基盤づくりが始まったと知り、熱田のことを誇らしく思うようになりました。

地元の子どもたちに伝えたい、伝統の工芸技術

神仏具の有名な産地は2つあります。1つは京都、もう1つは実は名古屋なんです。尾張仏具は経済産業大臣指定伝統的工芸品です。当社は尾張仏具技術保存会に属しており、私自身、伝統的工芸品を制作する技術を磨き続け国家試験に合格し、2019年に伝統工芸士の称号を受ける事が出来ました。振り返れば、こうしたことを地域の人たちに知ってもらう機会はほとんど皆無でした。むしろ、自らを衰退産業と位置づけて、知ってもらおうとしなかったのかもしれません。しかし、地元の産業が地元の人たちとつながることで、産業の活性化や、地元の人たちが地域への愛着を深めるきっかけになることもあると思っています。当社にできることは、小・中学校を訪問して行う工芸体験になりますが、子どもたちが長い歴史
の中で培ってきた技術に触れてどんなふうに感じてもらえるのか楽しみです。ぜひ、取り組んでみたいですね。

岩田さんには、どこで会えますか?

地下鉄名城線「西高蔵駅」より徒歩10分、「金山総合駅」よりJR東海道線沿いを南へ徒歩10分ほどの場所に「岩田三宝製作所」の本社・工場があります。