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私立大学研究ブランディング事業

研究チーム⑧



2019年度 研究内容・研究成果

研究内容|コミュニティとの協働&ストレングスや資源の尊重と活用


本研究では、その目的を達成するために、以下に示す三つのプロジェクトを立ち上げた。
  1. ダブルケア支援を中心とした「ケア活普及啓発&サポーター育成」プロジェクト(リーダー:澤田)
    「ダブルケア」の問題について、自助、互助、共助、公助を共に高めていくための取り組みを展開し、「将来世代を見据えたコミュニティのチカラ」を高める地域モデルを構築するプロジェクト。
  2. 健康と多世代交流をテーマとした「ひびの健やかフェスティバル」プロジェクト(リーダー:玉川)
    普段熱田区内で交流のある人々だけでなく、交流のない人々もつながり、地域の活性化や健康への関心を高めることを目的に、幅広い世代が楽しめるイベントを企 画・実施するプロジェクト。
  3. 大規模団地における孤立死防止を目指す「地域サロン支援」プロジェクト(リーダー:山下)
    文部科学省「地(知)の拠点整備事業(大学COC事業)」として実施していた「熱田区地域支えあい創出事業」の活動を継承し、地域サロンの運営サポートをおこなうプロジェクト。

「ダブルケアカフェ」は、ダブルケアの当事者や経験者の集いの場を提供する取り組みである。

地域の特別養護老人ホームや地域活動団体等と協働で開催した「ひびの健やかフェスティバル(2019年11月17日開催)」では、熱田高校演劇部による「ダブルケア寸劇」が披露された。

地域コミュニティのバランサー(balancer)としての大学


三つのプロジェクトの成果から、以下のことが示唆された。

第一に、住民同士がつながることで、より問題解決に有用な情報が容易に得られ、行政に対してアクションをおこしやすくなる。第二に、地域のチカラを活性化させるには異なる世代間のつながりが有効であり、それには「共通のテーマ」に対してお互いが「自分事」に感じることが肝要である。第三に、本学は、プラットフォーマーとなり、児童館や特別養護老人ホームなどの「空間のシェア」、当事者や住民、福祉専門職、行政職員などの「スキルのシェア」を推進した。それらは分野横断的な取り組みとなるため、行政における縦割りによって生じる弊害を改善し得るものである。

翻って、シェアリングエコノミーではインターネット上におけるゲストとホストの相互評価がサービスの安心・安全性を保障するが、インターネットの利用になじめない高齢者世代やローカルネットワークにおいては、大学が両者の間に入ることでその機能を代替できることが窺えた(大学が培ってきた「信頼」というストックの活用といえる)。

第4次熱田区地域福祉活動計画のメンバーとともに、地域住民のつながりの程度を評価する「ぬくといつながり尺度」の項目および熱田区内の行政機関や地域活動団体等の活動情報を掲載する「情報マップ」の内容について検討した。

2020年度 研究内容・研究成果

研究内容|リサーチとアクションの統合&循環的な反復のプロセスによる変革


2020年度は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けて、研究計画や各プロジェクトの活動内容に大幅な見直しが必要となった。
  1. 「ダブルケア支援体制の地域支援モデルづくり」プロジェクト(リーダー:澤田)
    昨年度、支援団体とともに共催したダブルケアカフェ、講座等について、支援団体がメインで開催・運営できるようサポートをおこなった。また、当事者、予備軍を対象にケア対応力の向上を目指したミニ講座である「ケア力UP講座」を開講した。さらに、一般市民向けの普及啓発ツール・機会づくりとして、2020年度春学期「上級まちづくり演習」受講学生らによる普及啓発冊子の制作、熱田区役所・熱田保健センター・熱田区社会福祉協議会との共催による「ダブルケア時代のライフデザイン-子育てと介護のダブルケアシンポジウム」の開催、他方、専門職向けの支援・対応力向上に向けた働きかけとして、研修用テキストの制作、介護専門職向けダブルケア支援力向上研修の開催等をおこなった。
  2. 「ひびの健やかフェスティバル」プロジェクト(リーダー:玉川)
    「ひびの健やかフェスティバル」に代わる企画として、「第1回つながり動画企画発表会」を開催した。また、2019年度に開催した「ひびの健やかフェスティバル」(2019年11月17日実施)で配布・回収したアンケート調査の分析をおこなった。
  3. 「熱田区誰もが暮らしやすい街づくり」プロジェクト(リーダー:山下)
    地域サロンの活動自粛およびフィールドとしていた団地の建て替え工事に伴い、熱田区の人的資源を活用し、多様な視点・角度から、熱田区の街やそこに住む人々の暮らしを見つめる機会を学生に提供することにより、地域の担い手を育成する(ストックを蓄積する)ことを目的とした新規プロジェクトを立ち上げた。


地域コミュニティのモチベーター(motivator)としての大学


三つのプロジェクトでは、共通して、地域とつながることや地域で活動することが、その人あるいはその人が所属するコミュニティに「どのようなメリットをもたらすのか」について着目する重要性が挙げられた。また、「ダブルケア支援体制の地域支援モデルづくり」プロジェクトでは、自分事としてつなぐには、「それぞれの立場で響くテーマ」を提示することが鍵となることが明らかとなった。これらを鑑みると、地域住民や団体、学生等が(人的資源として)シェアリングのシステムへ加わるに至るまでには、自らのチカラを認知し、そのチカラを活かせる場や機会が存在するという条件が揃うだけでなく、(業務などで加わらなければならないという強制力が働いている場合を除いて)そもそもそのチカラを活かそう/活かしたいという“意思”が不可欠であり、そう思える動機付けが必要となる。すなわち、大学が当該ステークホルダーの得られるメリットを発見し提示することで、ステークホルダーの背中を押す(inspire)ことが示唆された。

つながり動画を作成するために、学生たちが地域活動団体へインタビューしている様子。

誰もが暮らしやすい街づくりを考えるために、学生たちが視覚障害をもつ方々とフィールドワークしている様子。

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