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私立大学研究ブランディング事業

研究チーム④



2019年度 研究内容・研究成果

研究内容|地域内人口統計情報の収集


当研究では、NTTドコモ社の提供するモバイル空間統計®*サービスを利用して携帯電話ユーザーの人口統計データを収集し、調査対象地における集客状況を旅行者の属性(性別・年齢(10歳ごと)・居住地(都道府県・市区町村))や時間帯ごとに測定した。モバイル空間統計®とは、携帯電話ネットワークを活用して作成される地域内人口の統計情報であり、そこで得られる個人の位置データおよび属性データは非識別化処理、集計処理、秘匿処理を施されているため特定の個人を識別することは不可能である。調査期間は2015年、2017年と2019年の4月と10月、期間粒度は平休日別月平均、時間帯数3(8時台、12時台、16時台)、エリア粒度は任意(地域メッシュは500mメッシュまたは500mメッシュ合算エリア)とした。調査対象地は、名古屋市内の観光地等8エリア(①名古屋駅、②名古屋城、③名古屋港水族館、④熱田神宮、⑤金城ふ頭、⑥金山駅、⑦栄、⑧大須商店街)である。名古屋駅と栄、2017年にテーマパークが開業した金城ふ頭と名古屋港水族館、また名古屋城と熱田神宮など、訪問者属性が近似すると予想される調査地域を比較した。



研究成果|調査対象地の地域的特性の把握


地域内における人口の推移をテーマパーク開業前後で比較すると施設周辺(金城ふ頭)のみ、特に開業直後である2017年4月の休日で影響が顕著であった。名古屋港水族館は、同施設と客層的に競合が予想されたが、特に影響は観察されなかった。地域内の人口属性に着目すると、名古屋駅は比較的幅広い年齢層の訪問者を集めており、栄エリアと同様に20代女性の訪問者が多い。一方、金城ふ頭では、30代、40代の男女が多く、家族連れが大きな比重を占めていると考えられる。同様の傾向は、名古屋港水族館でも確認できる。他の地域では、大須商店街は男性、熱田神宮は比較的高齢者の人口比率が高かった。

居住地別に見ると、名古屋駅および栄は比較的遠方からの訪問者を集めていたのに対し、金城ふ頭は中部地方特に東海エリアからの集客が中心であり、熱田神宮は、愛知県居住者が大半であった。




2020年度 研究内容・研究成果

研究内容|地域内人口統計データの分析


今年度は、新型コロナウイルス感染症拡大が人々の移動に多大な制約をもたらした1年であった。2020年のホテル・旅館の年間国内宿泊客数は、前年比48.9%減少するなど、国内観光産業は観光需要の急激な減少に直面した。その傾向は、当研究の調査対象地の1つである栄の訪問者の居住地別属性の変化にも表れている。そこで、コロナショックが事業対象地域にもたらした影響を分析するため、各エリアの2020年(4月/10月)のデータと2015年以降のデータを比較・検討した。調査期間は2016年、2018年と2020年の4月と10月、期間粒度は平休日別月平均、時間帯数3(8時台、12時台、16時台)、調査対象地は、名古屋市内の観光地等8エリア(エリア粒度:メッシュ・任意形状)である。調査期間を除き、基本的に前年度の調査仕様を継承している。さらに早期回復した地域や人口の属性、またその要因等についても併せて考察した。

2018年4月休日12時台の栄の様子

2020年4月休日12時台の栄の様子

2020年10月休日12時台の栄の様子

研究成果|調査対象地における人流の変化の把握


まず人口の推移に関しては、どのエリアも2020年にパンデミックの影響による人口の減少が観察できる。特に、4月に減少が顕著である。原因として考えられるのが、日本政府による緊急事態宣言である。2020年4月7日に新型インフルエンザ等対策特別措置法の規定に基づいて出されたこの宣言は、当初は埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、大阪府、兵庫県そして福岡県などの一部の都府県を対象としていた。さらに、4月16日には対象地域が全都道府県に拡大された。パンデミックの影響にもかかわらず、名古屋駅や栄などのビジネスや商業の盛んなエリアでは、2020年10月には減少した人口が概ね回復している。一方で、名古屋城などの観光地では、2020年10月において強い回復を示すことはできなかった。熱田神宮など他の観光地でも、概ね同様の傾向を見出すことができる。全体的に、旅行者は感染リスクを低減するため遠方への旅行を避けたと考えられる。

2018年4月休日12時台の名古屋城の様子

2020年4月休日12時台の名古屋城の様子

2020年10月休日12時台の名古屋城の様子

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