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私立大学研究ブランディング事業

研究チーム①



2019年度 研究内容・研究成果

研究内容|事例・データ分析と理論的検討


本プロジェクトはおよそ3つの課題に取り組んでいる。
  1. シェアリングおよび歩いて暮らせるまちづくり先進事例調査:「楽しく歩けるまちづくり」および「シェアリング」の先進事例として、ドイツの各都市(ベルリン・ライプツィヒ・フライブルク・ボン等)の現地調査を行い、都市構造や「歩く」まちづくり・シェアリングの状況について調査した。
  2. 熱田区「健寿カード事業」に関わるデータ分析:熱田区で60歳以上を対象として平成28年より展開してきた「みんなでのばそう!健康寿命」事業では、「健康寿命チャレンジカード」を配布し、健康づくり活動や地域活動等への参加を推進する取り組みを展開してきた。これまで本事業の学術的支援を行い、各回の事後アンケートを実施してきたが、データをパネルデータ化する作業を行うとともに、集計結果の分析作業を行った。
  3. 「シェアリング」概念の理論的検討:全体枠組みを検討する理論的背景としてドツ語圏で展開されてきた秩序理論・秩序政策論的アプローチに基づきつつ、現代の「シェアリング」の展開の位置づけについてサーベイした。

研究成果|シェアリングの展開と可能性


  1. 各都市では「歩ける」まちづくりが展開され、歩いて暮らす生活スタイルが定着しており、さらにはバイクシェアや、2018年に許可された「Eスクーター」の急速な広まり等、シェアリングを通じた新たな展開が進みつつある実態を把握することができた。
  2. 集計結果からは、生活満足度の向上や健康活動の頻度の増加など一定の成果が見込まれる結果もみられたが、十分な統計的有意性は確認できておらず引き続き分析を進めていく。
  3. ドイツ語圏の理論研究では「シェアリング」にあたる経済活動をGemeinwirtschaft( 共同経済)に位置づけてきたが、現代の新しいシェアリングは対概念のMarktwirtschaft(市場経済)と密接に結びつくものであり、この点について先行研究では検討が不十分であり、理論的課題が明らかとなった。

ベルリン・バイクシェア等の状況:乗り捨てタイプのシェアバイク事業に多くの事業者が参入し、たくさんの自転車が街中に放置されている。また電動キックボードの普及が進むことで、これもあわせてカオス状態になりつつある。


フライブルクでは「パーク・アンド・ライド」システムが採用され、街の外側に自動車プールがあり、ここに自動車を止めて、トラム・バスに乗り換えて通勤・通学するようになっている。これにより中心部への自動車の乗り入れを減少させている。



ハノーファーの赤いライン:駅前から出発して歩道上に赤いラインが街をぐるりと一回りするように引かれており、これを辿ることで街の見どころを歩いてまわることができる。

ボンのベートーベンツアー:中心部の至るところにこのモニュメントが設置され、映像・説明を見て回ることで、ベートーベンの時代の様子を知り、街歩きをすることができる。




2020年度 研究内容・研究成果

研究内容|楽しく歩けるシステム研究


  1. シェアリングおよび歩いて暮らせるまちづくり先進事例調査:前年度後半に実施したドイツ先進事例調査を整理しつつ、ドイツ以外の先進事例(スイス・オーストリア・デンマーク等)および国内先進事例(とりわけ過去に政府事業などによって実施された事例)について情報収集・分析を行った(コロナ禍の影響で現地調査はできず)。
  2. 熱田区「健寿カード事業」に関わる成果分析:熱田区の「みんなでのばそう!健康寿命」事業におけるアンケートデータのパネルデータ化およびデータクリーニングをさらに行い、データ集計してこれまでの取り組みの成果や効果等について検討する作業を引き続き行った。
  3. 「シェアリング」概念の理論的検討:「ストック・シェアリング」概念についての理論的整理・検討として、ドイツ語圏における先行研究のサーベイを行いつつ、英語圏における関連文献についても調査を行った。

研究成果|高齢者の健康づくりとコミュニティとの関係


  1. 「歩いて暮らせるまちづくり」は、ドイツでの事例のみならず国内でも多くの事例があり、これまでの状況とその成果の検証が必要なことが明らかとなった。
  2. 「健寿カード」事業のアンケートデータ分析を行い、主観的健康度、運動頻度、外出頻度、運動意欲、外出意欲、地域での安心感、そして地域の知り合いなど、多くの項目で事業への参加前後でより向上している結果が得られた。
  3. 先行研究においてもシェアリングエコノミー(Ökonomie des Teilens)と共同経済、市場経済との概念比較に関する研究が次第に表れてきたことが確認でき、今後さらに検討を進める。

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