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現代社会学部

大学教授が語るドラッカー経営の本質(8)


マネジメント-基本と原則⑥ マネジャー:成果に責任を負う存在

第5章において、ドラッカーはマネジャーを地位や肩書ではなく、機能によって定義する。マネジャーとは部下の数で決まる存在ではない。組織の成果(Results)に実質的影響を与える意思決定を行う者こそがマネジャーである。
マネジャーの本質は成果責任(Responsibility for Results)にある。活動量でも勤勉さでもない。組織の外部において意味ある成果を生み出す責任を引き受けることが、その定義である。地位が責任を生むのではない。成果に責任を負うからこそ、権限(Authority)が与えられる。
ドラッカーは述べる。
Management is the organ of society specifically charged with making resources productive.
(マネジメントとは、社会において資源を生産的にすることを特に委ねられた機関である。)
ここでいう資源とは、人・資金・設備・情報を含む。だが資源は自動的に成果を生まない。資源を成果へと変える働きがマネジメントであり、その具体的担い手がマネジャーである。マネジャーは単に管理するのではない。資源を結びつけ、生産的に機能させる。
ドラッカーはマネジメントを「成果の器官(organ of performance)」と呼ぶ。これは比喩ではない。組織が成果を上げるための中核的機能がマネジャーであるという意味である。企業が社会的制度であるならば、マネジャーはその内部で成果を現実の結果へと変える役割を担う。
ここで重要なのは統合(Integration)の機能である。組織は分業によって成り立つ。しかし分業は同時に断片化を生む。各部門が自部門の効率や都合だけを優先すれば、全体の成果は損なわれる。マネジャーは目標(Objectives)を共有し、部門間の方向を合わせ、全体としての成果を実現しなければならない。
この統合を可能にするのが、目標による管理(Management by Objectives)の思想である。目標は統制のための数値ではない。自己統制(Self-Control)を可能にする基準である。命令で人を動かすのではなく、成果基準を明確にすることで自律的に動けるようにする。それが現代のマネジメントである。
さらにマネジャーは現在の成果だけでなく、将来の能力にも責任を持つ。人材育成は付随業務ではない。個人の強みを見いだし、挑戦の機会を与え、継続的に成果を生み出せる状態をつくることが重要である。成果を一過性の成功で終わらせず、仕組みとして定着させることが求められる。
またマネジャーは上下左右の関係の中で機能する。上司に対しては提案責任を負い、部下に対しては明確な期待を示し、同僚に対しては協働の責任を果たす。成果は個人の能力だけでは生まれない。貢献(Contribution)の連鎖を設計し、相互依存を成果へと結びつけることがマネジャーの役割である。
マネジャーとは管理者ではない。成果に責任を負い、人と仕事を結びつけ、組織全体を前進させる存在である。
本書の核心はこれである。
中部経済新聞 2026年5月20日掲載

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