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現代社会学部

大学教授が語るドラッカー経営の本質(24)


成果責任の理論構造① 成果責任をめぐる四水準構造

これまで本連載では、『マネジメント』『イノベーションと企業家精神』『非営利組織の経営』『経営者の条件』を取り上げてきた。しかし、これらを独立した経営論として読むだけでは、ドラッカー思想を貫く理論構造は見えてこない。そこで本稿では、四著書を「成果責任」を軸に再配置する。
ドラッカー研究では、目標管理、イノベーション、使命、自己管理など、多くの概念が論じられてきた。問題は、それらがどの水準に位置し、いかに関係するかである。ここではドラッカー思想を、制度・実践・社会・主体という四水準から捉える。
下表のように、『マネジメント』は制度水準で成果責任の原理を定式化する。『イノベーションと企業家精神』は、その原理を実践水準で動態化する。『非営利組織の経営』は、成果の基準が組織内部ではなく社会との関係から規定されることを示す。そして『経営者の条件』は、成果責任が最終的に意思決定主体へ帰属することを明らかにする。四著書は、それぞれ原理層、実践層、普遍性層、主体層として位置づけられる。
重要なのは、四水準を一方向に進む段階として理解しないことである。制度は実践を方向づけるが、実践による成果は制度の有効性を問い返す。社会は成果基準を規定し、その変化は制度の再構成を促す。主体も制度のもとで行為しながら、その意思決定によって制度を変える。四水準は、互いを規定し直す相互規定的構造なのである。
この循環をつなぐ概念が「成果責任」である。成果責任は、制度と社会を接続し、制度と実践を媒介し、制度と主体を結ぶという三重の媒介機能を担う。 したがって成果責任は、単なる「成果を出す責任」ではない。組織の存在理由、実践の方向、社会的評価、主体への責任帰属を接続する規範概念である。
この視点に立てば、ドラッカー思想は個別概念の集合ではなくなる。制度、実践、社会、主体が相互に作用し、主体の行為が制度を形成し、その制度が社会から正統性を問われる。そこには循環する再帰的構造がある。これを「成果責任を媒介概念とする再帰的四水準構造」と捉えることができる。
次回からは、このモデルを基準に四著書を読み直し、成果責任の理論構造における機能を検証する。制度・実践・社会・主体を循環させる媒介概念として、成果責任を位置づける。
本稿の核心はこれである。

表 四著書の理論的機能と構造的位置づけ
著書 理論的位置 規範性の強度 適用範囲 理論的機能 構造的意義
『マネジメント』 原理層 高 企業内部 制度水準の原理確定 成果責任の基底確立
『イノベーションと企業家精神』 実践層 中〜高 企業→社会 実践水準への動態展開 原理を動態化
『非営利組織の経営』 普遍性層 高 社会的機関一般 社会水準における基準規定 普遍性の検証
『経営者の条件』 主体層 最高 個人 主体水準への責任帰属 成果責任の帰属
中部経済新聞 2026年9月16日掲載

Takuya Mizukami
ぞうれっしゃがやってきた/部分 (2025年)

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