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現代社会学部

大学教授が語るドラッカー経営の本質(23)


経営者の条件③ 成果をあげる実践と意思決定

前回まで見てきたように、成果をあげる人は時間を知り、自らの貢献を問い、強みを成果へ結びつける。しかしドラッカーは、それだけで十分とは考えない。成果をあげるためには、限られた資源を重要な課題へ集中し、意思決定に責任を負わなければならない。
成果をあげる人に共通する特徴の一つが集中である。
First Things First.(最も重要なことを最優先せよ。)
ドラッカーは、多くの人が成果をあげられない理由を能力不足には求めない。むしろ問題は、あまりにも多くの課題を同時に抱え込み、重要な仕事への集中を失うことにあると考える。
成果をあげる人は、やるべきことを増やさない。何をやめるかを決める。優先順位を定めるだけでなく、劣後順位も定める。今日重要でないことを捨てる勇気がなければ、本当に重要なことに集中できない。
この考え方は、ドラッカーが一貫して主張した「計画的廃棄」にも通じている。組織も個人も、新しい挑戦のためには古い仕事を手放さなければならない。成果は活動量から生まれるのではない。集中から生まれるのである。
そして集中の先にあるのが意思決定である。
ドラッカーは、意思決定を単なる選択行為とは考えなかった。意思決定とは判断であり、責任である。成果をあげる人は、正しい答えを探そうとするのではない。何が本当に問われているのかを考える。
Effective decisions are based on dissent.(有効な意思決定は意見の対立から生まれる。)
この指摘は今日でも示唆に富む。組織ではしばしば全員一致が望ましいと考えられる。しかしドラッカーは、異なる見解の存在こそが質の高い判断を可能にすると考えた。反対意見がなければ前提は検証されず、思考は停止する。
したがって優れた経営者は、対立を恐れない。むしろ異なる視点を歓迎し、その中からより良い判断を導こうとする。重要なのは調和ではなく成果なのである。
こうして本書は、時間、貢献、強み、集中、意思決定という五つの実践を提示する。しかしドラッカーが本当に伝えたかったことは、個々の技法ではない。
Effectiveness can be learned.(成果をあげる力は習得できる。)
これが本書全体を貫く結論である。
成果をあげる人は特別な才能を持つ人ではない。生まれつき優れた資質を持つ人でもない。時間を管理し、貢献を問い、強みを活かし、集中し、意思決定に責任を負う人である。
だからこそ成果をあげる力は再現可能であり、学ぶことができる。ドラッカーは経営者だけに向けて本書を書いたのではない。知識労働者として働くすべての人に向けて書いたのである。成果は偶然ではない。実践の結果である。
本書の核心はこれである。

<『経営者の条件』の構成>
①時間Know Thy Time「時間を何に使っているか」②貢献What can I contribute?「自分は何を貢献できるか」③成果Effectiveness can be learned「成果はどう習得できるか」
中部経済新聞 2026年9月9日掲載

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