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現代社会学部

大学教授が語るドラッカー経営の本質(10)


マネジメント-基本と原則⑧ 成果に従属する組織設計

第7章「マネジメントの組織」において、ドラッカーは組織を理念や伝統ではなく、成果の観点から再定義する。組織は権威体系でも歴史の産物でもない。組織とは成果を上げるための道具である。
彼は明言する。
Organization is a means to an end.
(組織は目的のための手段である。)
目的とは成果である。組織はそれ自体が価値を持つのではない。成果を生み出す限りにおいてのみ存在理由を持つ。組織が自己目的化した瞬間、衰退は始まる。
ドラッカーは組織設計の出発点を仕事(Task)に置く。まず成果を定義し、その成果を実現するために必要な仕事を明らかにし、その後に構造を決める。構造が先にあり、仕事を後から当てはめるとき、組織は硬直化する。構造は仕事に従属しなければならない。
ここで彼は「悪い組織」にも言及する。悪い組織とは、責任が曖昧な組織である。誰が何の成果に責任を負うのかが不明確なとき、会議と資料は増えるが成果は出ない。問題が起きても原因と責任が特定できず、是正よりも弁明が優先される。責任なき権限は腐敗を生み、権限なき責任は疲弊を生む。権限と責任の一致が組織設計の基本原理である。
では良い組織とは何か。それは「成果責任の配置」が明確な組織である。組織図は上下関係の図ではない。責任の配置図である。どの成果に誰が責任を負い、どの意思決定が誰に委ねられているかが明確であれば、調整コストは下がり、現場は自律的に動ける。組織は人を縛る枠ではなく、成果を可能にする枠組みとなる。
分業は生産性を高める。しかし同時に断片化をもたらす。各部門が自部門の効率だけを追求すれば、全体最適は失われる。ゆえに組織には統合(Integration)の仕組みが必要である。目標(Objectives)は統合の装置であり、部門間の方向を一致させる基準である。
さらにドラッカーは「組織形態」にも触れる。機能別組織(functional organization)は専門性を高めるが、部門利害が強くなりやすい。事業部制・分権化(decentralization)は成果責任を明確にしやすいが、全体統合が弱まれば部分最適に陥る。マトリクス(matrix)は複雑な課題に対応し得るが、責任が二重化すれば「悪い組織」になりやすい。したがって理想形は存在しない。組織は環境変化とともに再設計されるべき動的な存在である。重要なのは、戦略と成果に適合しているか、責任が明確か、統合が働くかである。
組織の目的は安定ではない。変化の中で成果を持続させることである。構造は固定化の装置ではなく、成果を可能にする枠組みである。組織は手段であり、目的は常に成果である。
本書の核心はこれである。 
中部経済新聞 2026年6月3日掲載

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