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国際文化学部

第1部 宗教が形づくる地域


(1)十六世紀日本の対欧外交の展開と宗教理解  鹿毛敏夫

[論文要約]
十六世紀日本の戦国大名領国では、大名当主と家臣団による「国家」意識が成熟し、ヨーロッパ諸勢力からも大名は「国王」「公爵」と見なされた。特に九州地域の諸大名は、ポルトガル国王らとの国交開設や通商協約の締結にほぼ成功し、東アジアの伝統的国際秩序の枠を超えて活動した。しかしながら、その対欧交渉は、必ずしも正確な相互理解に基づくものではなかった。

[著者プロフィール(本書刊行時)]
かげとしお―名古屋学院大学国際文化学部教授。専門は日本中世史、対外関係史。主な著書に『戦国大名の海外交易』(勉誠出版、二〇一九年)、『大友義鎮―国君、以道愛人、施仁発政』(ミネルヴァ書房、二〇二一年)、『世界史の中の戦国大名』(講談社、二〇二三年)、編著に『戦国大名の土木事業―中世日本の「インフラ」整備』(戎光祥出版、二〇一八年)、『硫黄と銀の室町・戦国』(思文閣出版、二〇二一年)、『交錯する宗教と民族―交流と衝突の比較史』(勉誠出版、二〇二一年)などがある。

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サン・ロケ教会聖具室の連作油彩画『聖フランシスコ・ザビエルの生涯』(ポルトガル)
左にみえるのは、フランシスコ・ザビエルがアンジローに鹿児島を案内されている場面。裸足のザビエルが「もっと先へ」("MAIS MAIS")と呟いている。1619年頃、アンドレ・レイノーゾ工房が連作油彩画の第15番として描いた。(鹿毛論考参照)

(2)高山右近にみるキリシタン信仰が地域社会に与えた影響  宮原奈美恵

[論文要約]
フランシスコ・ザビエルを通して伝えられたキリスト教が、キリシタン大名として知られる高山右近、そして彼が治めた高槻の地域社会に与えた影響について考察する。とりわけ、キリシタン墓地、信仰の自由、ミゼリコルディアの組といった、高槻でキリスト教精神がどのように実践されたかが垣間見える事例に注目する。

[著者プロフィール(本書刊行時)]
みやはら・なみえ―キリスト聖書神学校MDiv(神学修士課程相当)在学中。名古屋学院大学国際文化学部卒業。専門は日本キリスト教史。

(3)韓国の民衆とキリスト教―『民衆神学』とフェミニズムの視点  神山美奈子

[論文要約]
二〇二五年六月に政権交代を遂げた韓国、その韓国にはなぜクリスチャンが多いのか、そしてプロテスタント教会は韓国社会にどのような影響を与えているのか、「民衆」をキーワードにプロテスタント史の視点から探る。また、韓国における民主化闘争という文脈から生まれた「民衆神学」の意義と課題をフェミニズムの観点から捉えなおす。

[著者プロフィール(本書刊行時)]
かみやま・みなこ―名古屋学院大学商学部准教授・宗教部長。専門は実践神学・日韓キリスト教史。主な著書に『女たちの日韓キリスト教史』(関西学院大学出版会、二〇二一年)、『W.M.ヴォーリズと朝鮮の物語―真の神の国を求めて』(かんよう出版、二〇二五年)がある。

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(4)名古屋市におけるイスラーム教徒の足跡を辿る―一九八〇年代の関連諸団体に関する考察から  吉田達矢

[論文要約]
本稿は、主に一九八〇年代の名古屋市におけるイスラーム教徒の動向を明らかにすることを目的として、彼らが設立・参加した諸団体に着目し、それらの概要や特徴について考察した。その結果、当該期における彼らのイスラームに収束されない多様な活動が明らかになった。

[著者プロフィール(本書刊行時)]
よしだ・たつや―名古屋学院大学国際文化学部准教授。専門はオスマン帝国史。近現代名古屋におけるイスラーム教徒についても研究を行っている。主な論文に「オスマン帝国改革期における地方軍政官の人事―テペデレンリ・アリー・パシャ討伐後のヤンヤ県を中心に」 (『名古屋学院大学論集:言語・文化編』第三十四巻第二号、二〇二三年)、「近代名古屋在留タタール人が生きた「世界」」(『史潮』九三、二〇二三年)などがある。

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アヤソフィア内部のモザイク画(トルコ)
「デイシス」(嘆願)」を描いたビザンツ美術を代表するモザイク画。キリスト、聖母マリア、洗礼者ヨハネが救済を神に嘆願している。イスタンブールのアヤソフィアは、ビザンツ帝国の正教会大聖堂として建てられ、その後ローマ・カトリック教会、イスラームのモスク、博物館へ、そして再びモスクへと変遷しているが、初期の絵画も一部残されている。(吉田論文参照)