「オープンカレッジ」もしドラ大学マネジャー
非営利組織経営の要諦
「もしドラッカーが大学のマネジャー(経営者)だったら」――この問いを出発点に、大学経営の要諦を考察したい。わが国の大学は少子化の進行に伴う志願者減、国際的な競争環境の激化、地域社会からの要請の多様化など、複合的な課題に直面している。経営破綻や統合の事例も珍しくなくなり、大学は生き残りをかけて不断の変革を迫られている。こうした状況下でこそ、経営学の巨匠ピーター・F・ドラッカーの思想は示唆に富む。彼は営利・非営利を問わず、組織は「使命に忠実であること」によってのみ正統性を獲得すると説いた。
ドラッカーは企業において「顧客の創造」を使命と位置づけた。もっとも大学は営利企業と同列に語ることはできない。企業が利益を目的とするのではなく、顧客に価値を提供することで初めて成果を得るのと同様に、大学も収益を自己目的とせず、公共性を基盤として活動する組織である。したがって大学にとっての「顧客」を単純に市場的概念で捉えることは適切ではない。むしろ在学生や受験生にとどまらず、卒業生、地域社会、産業界、さらには学問共同体全体を「受益者」としてとらえるべきである。大学の存在理由は「社会における知の創造と人材の涵養」にあり、その使命を明確に自覚することこそが、非営利組織としての大学経営を正しく導く出発点となる。
ここで重要となるのが「強みを生かす」という視点である。ドラッカーは組織の強みにこそ資源を集中せよと繰り返し強調した。大学もまた各学部や研究室が備える固有の知的資源を発見し、その融合によって教育・研究・社会貢献の諸活動に結びつけることで、初めて新しい価値を社会に提供できるのである。弱点を補うのではなく強みを深化させる姿勢が、大学全体の存在意義を高める。地域との連携はその典型である。東海地域には自動車や航空、繊維や食品といった多様な産業が集積しており、大学はその知的基盤をもって産業界と相互作用している。産学協働による研究開発や人材育成、地域課題解決型の教育プログラムは、学生に実践力を授け、企業には革新的知見をもたらす。こうした往復運動を通じて、大学は社会から不可欠な存在として信頼を得ることになる。
大学経営にとって決定的に重要なのは、この信頼をいかに積み重ねるかである。教育と研究の質を高め、地域社会に開かれた活動を継続することが、大学を公共的資産として位置づける基盤となる。大学マネジャーに求められるのは、現場の自律性を尊重しつつ、使命を軸に方向性を示す統治である。学生にとって魅力ある学修環境を整え、社会に必要とされる人材と知を着実に生み出すこと。これらの営為の積み重ねが、厳しい環境を超克する大学経営の条件となる。未来は誰かが保証してくれるものではない。大学が使命を見失えば、その未来は静かに失われていくことだろう。
ドラッカーは企業において「顧客の創造」を使命と位置づけた。もっとも大学は営利企業と同列に語ることはできない。企業が利益を目的とするのではなく、顧客に価値を提供することで初めて成果を得るのと同様に、大学も収益を自己目的とせず、公共性を基盤として活動する組織である。したがって大学にとっての「顧客」を単純に市場的概念で捉えることは適切ではない。むしろ在学生や受験生にとどまらず、卒業生、地域社会、産業界、さらには学問共同体全体を「受益者」としてとらえるべきである。大学の存在理由は「社会における知の創造と人材の涵養」にあり、その使命を明確に自覚することこそが、非営利組織としての大学経営を正しく導く出発点となる。
ここで重要となるのが「強みを生かす」という視点である。ドラッカーは組織の強みにこそ資源を集中せよと繰り返し強調した。大学もまた各学部や研究室が備える固有の知的資源を発見し、その融合によって教育・研究・社会貢献の諸活動に結びつけることで、初めて新しい価値を社会に提供できるのである。弱点を補うのではなく強みを深化させる姿勢が、大学全体の存在意義を高める。地域との連携はその典型である。東海地域には自動車や航空、繊維や食品といった多様な産業が集積しており、大学はその知的基盤をもって産業界と相互作用している。産学協働による研究開発や人材育成、地域課題解決型の教育プログラムは、学生に実践力を授け、企業には革新的知見をもたらす。こうした往復運動を通じて、大学は社会から不可欠な存在として信頼を得ることになる。
大学経営にとって決定的に重要なのは、この信頼をいかに積み重ねるかである。教育と研究の質を高め、地域社会に開かれた活動を継続することが、大学を公共的資産として位置づける基盤となる。大学マネジャーに求められるのは、現場の自律性を尊重しつつ、使命を軸に方向性を示す統治である。学生にとって魅力ある学修環境を整え、社会に必要とされる人材と知を着実に生み出すこと。これらの営為の積み重ねが、厳しい環境を超克する大学経営の条件となる。未来は誰かが保証してくれるものではない。大学が使命を見失えば、その未来は静かに失われていくことだろう。
中部経済新聞 2025年11月12日掲載


