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大学紹介

卒業生が語る:馬 彦文(マ・エヴァン)


馬 彦文(マ・エヴァン)

1年間の留学のつもりで訪れた、日本。
この国に魅せられ、12年目の春を迎えました。


株式会社スタジオジブリ 海外事業部 馬 彦文(マ・エヴァン)


プロフィール
香港生まれのカナダ育ち。現在は東京都在住。12歳の時にカナダに移住し、日本語を5年間学ぶ。2003年4月に留学のため名古屋学院大学留学生別科に入学。修業年限1年の教育課程を経て、2004年3月に卒業。その後そのまま、名古屋学院大学大学院へ進み、経済経営研究科経営政策専攻で経営を学ぶ。2006年に大学院を卒業した後、株式会社スタジオジブリの海外事業部に就職。海外事業部とは、国外での作品公開においての諸業務などを、現地配給会社と連携して行う部署。国外での作品プロモーションをはじめ、海外からの窓口として活躍する。

憧れだった日本での生活をスタート

香港に生まれた私ですが、小さな頃から日本が大好きでした。テレビをつけると日本のドラマやアニメの吹き替え版が流れていましたし、毎年大晦日は同時放送される日本の紅白歌合戦を観て過ごしていました。12歳の時にカナダに移住したあとも、昔から日本文化が好きだったこともあり、日本語を5年間勉強しました。勉強していくうちに「せっかく覚えたのだから、日本で生活してもっと上達したい」という思いが強くなり1年間留学することに。大学を探していた時に見つけたのが、名古屋学院大学の留学生別科。早速見学に行きました。瀬戸キャンパスの緑いっぱいの環境と、その時丁寧に案内してくださった担当の職員さんをはじめ、先生方の人柄にも惹かれ、「この大学で学びたい!」と強く思いました。
でも、いざ日本に来てみると、意外と日本語が通じないんですよね。たとえばコンビニの店員さんが何を言っているのか、理解できず(笑)。原因は、カナダの日本語授業で敬語をあまり習わなかったからでした。名古屋学院大学の留学生別科は、レベルに応じてクラスが分かれていたのですが、私のクラスでは敬語も学ぶことができたので、日本語の難しい言い回しや敬語も少しずつ習得することができました。入学当初は留学の期間が終わったらカナダに帰るつもりだったんですが、結局その後、大学院へ進み、そのまま就職。1年だけのつもりだった日本での生活は、今年でもう12年目に入ります(笑)。

言葉だけでなく、日本の文化も学んで

馬 彦文(マ・エヴァン)

大学時代は、日本語を学ぶ授業のほかにも様々な経験をさせていただきました。日本文化の勉強の一環として、和菓子を作ったことも。一番印象に残っているのは、瀬戸物を作る授業です。陶芸はもちろん生まれて初めてだったんですが、とても楽しかったことを覚えています。カナダでは、ものづくりの体験授業が日本ほどなかった印象でしたが、こういった授業自体が日本特有だと感じたのと同時に、陶磁器の街・瀬戸のキャンパスならではだと思いました。
瀬戸キャンパスはいいところですよね。四季を感じながら、緑の中を散歩するのが大好きでした。特に春、桜の時期は本当に美しくて。授業が終わったらすぐに、友達と一緒に外へ飛び出したのを思い出します。留学生別科の学生は多国籍で、そのほとんどが学生寮に住んでいたこともあり、みんなで自炊をするのも楽しみでした。韓国や中国の料理を教えてもらったり、パイを作ってみんなで食べたり…。いろいろな国の食や文化を知ることができ、視野も食の趣味も広がりました。
あと、印象に残っているのはインターンシップ。2週間、「ノリタケの森」で研修をさせていただきました。ちょうど愛知万博の時期で、モリゾーの陶器の置物を作るお仕事をしたのを覚えています。留学中、日本の企業で「働く」ことを体験できるのは、とてもいい機会になりましたね。

監督の思いを世界に届けるという使命

大学院を卒業後、「スタジオジブリ」の海外事業部に入社しました。1990年代からジブリ作品は海外進出し始め、現在、宮崎駿監督作品は約50カ国で公開されています。その海外への橋渡しをするのが、海外事業部。私の担当マーケットは、香港・中国・EU(フランスを除く)・中南米・東南アジア・中東・アフリカですが、その中でも特に知名度が高いのは香港とEUです。現地で公開される映画と、関連書籍・音楽・商品に関する権利関係、映画祭への出品、スタッフ取材の要請など、海外からの様々な問い合わせに対応したり、現地配給会社と連携するのが私の仕事。キャスティングや、録音台本・収録の監修など、品質を確認した上で、吹き替え版や字幕版が完成するまでの過程に携わります。現地の制作スタッフが提案する内容をチェックしたり、異なる言語になった際に異和感がないかを見極めます。もちろん、映画タイトルやメインコピーも訳さないといけません。その国の文化や風俗に合った言葉や表現方法に置き換え、作品の質を保つことも私たちの役目です。作品タイトルは、監督の思いがぎゅっと詰まっている、大切なもの。海外でジブリ作品を楽しんでいただくことはもちろんですが、監督の思いや作品の世界観を正しく伝えることもとても重要。これが、私たちの使命だと思っています。

今に活きている、大学時代の学びの数々

馬 彦文(マ・エヴァン)

最近では、香港での『風立ちぬ』公開にあたり、広東語吹き替えの録音台本、英語・中国語の両方を併記する字幕を監修しました。吹き替え版制作の準備段階で、作品とキャラクターについて現地配給会社に説明し、キャスト候補を提案してもらい、セリフ朗読による音声テストを行うことで、適切な役者を選びます。今回、主人公「二郎」役の吹き替えを、役者ではなく、ある映画監督の方に演じてもらいたいと、私が提案。それが現地の配給会社に通ったため、役のイメージにぴったりな作品ができあがり、結果として目標を超える興行成績を達成できました。英語圏向けの吹き替え版では、ジョゼフ・ゴードン=レヴィットをはじめ、エミリー・ブラント、スタンリー・トゥッチなど有名な俳優さんが参加してくれることになりました。作品に適切であり、なおかつ効果的なプロモーション案を通していくことのも私たちの仕事。そのためには、日本語と相手国の言語、両方の言葉の微妙なニュアンスをつかみ取り、最適な提案をして、公開まで辿り着くことが大切。日本語はとても難しいですが、奥が深くて、大学で学んだことも今の仕事に活かせていると感じています。他にも、海外からの収入報告や分析、契約交渉、参考用の財務データや印税報告書の作成、源泉徴収・免税の手続きなども行っています。大学院では経済経営研究科に在籍していましたので、そこで学んだことが発揮できていると感じます。

日本のすばらしさを発掘していきたい

日本の生活は、とても気に入っています。特に私は国内旅行が大好きで、「まずは47都道府県を全制覇しよう!」 と思い、いろいろなところへ出かけています。特に、日本中の神社仏閣を巡って歴史や日本文化に触れることが好きですね。御朱印帳も持ち歩いていますよ。現在、国内の旅は46都道府県制覇。あとは鳥取県だけなので、今年こそは鳥取砂丘に足を運びたいと思っています。そのほかにも、北海道の東側や、小さな島々にも行ってみたいです。日本は、鉄道で隣県にすぐアクセスできるので、とても便利。これからも、日本中を巡って、いいところを探っていきたいです。
私が大学院生の時に、愛知県で愛知万博が開かれました。私ももちろん足を運んで、暑い中3時間くらい待った覚えがあります(笑)。愛知万博に行けたことはとても刺激的で、今も深く印象に残っています。2020年に東京オリンピックが開催される際には、ボランティアとして関わりたいと思っています。
日本語の力試しのつもりで留学した日本でしたが、その魅力にすっかり虜になり、そのまま就職し、住み続けて10年以上が経ちました。大好きな日本で、様々なことを体験してきましたが、まだまだ私が知らないこともたくさんあるので、これからも日本の素敵なところを発掘し、楽しんでいきたいと思っています。

今しかないチャンスを逃さないで

馬 彦文(マ・エヴァン)

好きなことを学べる時期というのは人それぞれ。ですが、限られた時間の中でいかに学びを深めていけるかが重要だと思っています。やりたいことがあるのなら、ぜひ果敢にチャレンジしてほしい。在学生のみなさんには、今しかないチャンスを逃さず、自分を信じて突き進んでいってほしいと願っています。このキャンパスはとても環境が良いし、何より素敵な先生方をはじめ、学生のことを真剣に考えてくれる人ばかりで、私はとても居心地の良い学生生活を送ることができました。ここで一生の友達もでき、現在は誇りに思う仕事に就くこともできて、ますます日本が好きになっています。日本はとても素敵な国。そのすばらしい文化や歴史を、これからもどんどん発見していきたいです。
そして私は、スタジオジブリのアニメーション作品を、国籍・人種を問わず、たくさんの人に観てもらえるよう、これからも力を尽くしていきたいと思っています。作品を観た人に喜んでもらえることは、私にとって何よりも嬉しいこと。そこに自分の使命を感じています。世界中の人々の笑顔のために、これからも精一杯がんばっていきます。
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