「名古屋学院大学総合研究所研究叢書40」が発刊されました
名古屋学院大学総合研究所 研究叢書40の刊行
Kaoru IMAMURA『The Smell of Rain: Life and Rituals in the Kalahari.』Published jointly by Kyoto University Press and Trans Pacific Press
(今村薫著『雨の匂い―カラハリ狩猟採集民の生活と儀礼』京都大学学術出版会/トランス・パシフィック・プレス)

本書は、アフリカ南部のカラハリ砂漠に暮らす狩猟採集民サン(いわゆるブッシュマン)の伝統的な生活と世界観を、詳細な観察と記録から描きだしたものです。また、彼らの生活や儀礼、世界観の中心には、「シェアリング(分かち合い)」があります。著者は、1988年から2014年までの27年間におよぶアフリカ現地調査を通じて、きびしい自然環境の中で生きていくサンの実態を実証的に描き出しました。「雨の匂い」というタイトルは、砂漠において雨を渇望し、降雨を希求するサンの願いからつけました。本書は、サンの人たち自身や、世界中の人々にサンの暮らし方と世界観を知ってもらうために、英語で出版しました。
本書は4部10章から構成されています。
はじめに 調査地の概要
第1部 原野に生きる体験
第1章 乾季の別れ、雨季の再会
第2章 エランドを踊った日—女性の一生
第2部 自然資源の共有
第3章 採集活動
第4章 狩猟方法
第5章 協同と分配:女性の生業活動から
第6章 同調行動の諸相
第3部 身体資源の共有
第7章 通過儀礼
第8章 婚外性関係と民族生殖理論
第9章 社会関係の軋轢と儀礼
第4部 自然から制度へ
第10章 シェアリング・システムの全体像
エピローグ
第1部では、サンの男女の語りを通して、1930年代から1960年代にかけてのカラハリ狩猟採集民の生活を描き出します。第1章では、人々が季節の変化に合わせてどのように生活していたかを解説します。雨季と乾季で激しく変動する気候の中で、人々は乾季を別々に過ごし、雨季には集まって喜びを分かち合いました。第2章では、サンの女性の語りを通して、サンの女性たちの生活について描写します。
第2部では、1990年代の参与観察によって得られたデータに基づき、彼らの生計手段(狩猟採集)と自然資源の利用について明らかにします。自然から得た食料を「分かち合う」ことはサン社会の中核をなします。このパートの各章では、サンがどのように自然から食料を入手し、どのように共有し、それが彼らの社会や人間関係にどのように影響しているかを考察します。第3章では、女性の植物採集活動とその利用方法について説明します。第4章では、狩猟活動、とくに女性が行う狩猟について解説します。第5章では、狩猟採集によって得られた食料がどのように共有されるかを明らかにします。さらに、協力と共同に焦点を当て、協力と共有が相互に関連していることを示します。第6章では、サンの人々の日常生活にみられるシンクロナイゼーション(同期)について考察します。
第3部では、サンが儀式を通して社会的な葛藤や人間の感情をどのようにコントロールしてきたかを分析します。第7章では、誕生から成人、そして結婚に至るまでの通過儀礼を探ります。第8章では、性関係による社会関係構築の実態と、生命と生殖に関する民族理論を明らかにします。第9章では、性的な関係による「嫉妬」、愛憎に対する「恐怖」、そして他者と分かち合わないことへの「恨み、妬み」といった、人間関係の葛藤を解消するための儀礼について解説します。
第4部では、彼らの「シェアリング(分かち合い)」という習慣について包括的な概観を示します。狩猟採集民のシェアリングに関するこれまでの研究は、主に獲物の肉の分配に焦点を当ててきました。本書においては、活動や経験も共有の対象であること、そして儀礼を通じた身体物質の共有に着目しました。これらすべてを統合したシェアリング・システムの全体像について考察しました。
本書は4部10章から構成されています。
はじめに 調査地の概要
第1部 原野に生きる体験
第1章 乾季の別れ、雨季の再会
第2章 エランドを踊った日—女性の一生
第2部 自然資源の共有
第3章 採集活動
第4章 狩猟方法
第5章 協同と分配:女性の生業活動から
第6章 同調行動の諸相
第3部 身体資源の共有
第7章 通過儀礼
第8章 婚外性関係と民族生殖理論
第9章 社会関係の軋轢と儀礼
第4部 自然から制度へ
第10章 シェアリング・システムの全体像
エピローグ
第1部では、サンの男女の語りを通して、1930年代から1960年代にかけてのカラハリ狩猟採集民の生活を描き出します。第1章では、人々が季節の変化に合わせてどのように生活していたかを解説します。雨季と乾季で激しく変動する気候の中で、人々は乾季を別々に過ごし、雨季には集まって喜びを分かち合いました。第2章では、サンの女性の語りを通して、サンの女性たちの生活について描写します。
第2部では、1990年代の参与観察によって得られたデータに基づき、彼らの生計手段(狩猟採集)と自然資源の利用について明らかにします。自然から得た食料を「分かち合う」ことはサン社会の中核をなします。このパートの各章では、サンがどのように自然から食料を入手し、どのように共有し、それが彼らの社会や人間関係にどのように影響しているかを考察します。第3章では、女性の植物採集活動とその利用方法について説明します。第4章では、狩猟活動、とくに女性が行う狩猟について解説します。第5章では、狩猟採集によって得られた食料がどのように共有されるかを明らかにします。さらに、協力と共同に焦点を当て、協力と共有が相互に関連していることを示します。第6章では、サンの人々の日常生活にみられるシンクロナイゼーション(同期)について考察します。
第3部では、サンが儀式を通して社会的な葛藤や人間の感情をどのようにコントロールしてきたかを分析します。第7章では、誕生から成人、そして結婚に至るまでの通過儀礼を探ります。第8章では、性関係による社会関係構築の実態と、生命と生殖に関する民族理論を明らかにします。第9章では、性的な関係による「嫉妬」、愛憎に対する「恐怖」、そして他者と分かち合わないことへの「恨み、妬み」といった、人間関係の葛藤を解消するための儀礼について解説します。
第4部では、彼らの「シェアリング(分かち合い)」という習慣について包括的な概観を示します。狩猟採集民のシェアリングに関するこれまでの研究は、主に獲物の肉の分配に焦点を当ててきました。本書においては、活動や経験も共有の対象であること、そして儀礼を通じた身体物質の共有に着目しました。これらすべてを統合したシェアリング・システムの全体像について考察しました。