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「名古屋学院大学総合研究所研究叢書35」が発刊されました


名古屋学院大学総合研究所 研究叢書 35 の刊行
井澤知旦著 『名古屋都市・空間論 消毒された都市から物語が生まれる都市へ』 風媒社

名古屋学院大学総合研究所研究叢書35

本書は、名古屋の都市・空間の成り立ちと変遷、現状を明らかにし、それらを包括して都市イメージや都市発展史を語っています。今日の名古屋の姿は江戸の名古屋城下町をもとに戦災復興事業によって生み出された都市・空間のうえに形成されています。市民も市民以外の人も名古屋を皮相的に捉えるのでなく、名古屋の深層を理解したうえで評価してほしいとの思いで、この著作を世に問いました。
また、本書は都市論・空間論を中心に扱っており、産業論や文化論は一部触れていますが、直接的には扱っていません。よって、タイトルは「名古屋都市・空間論」としています。また、「消毒」や「物語」というキーワードを副題に取り込んでいるのですが、それらは本書に通底する視点を据えています。
本書は6章から構成されています。

はじめに
第1章 名古屋の都市イメージ形成
第2章 名古屋の都市発展史 5つのエポック
第3章 都市計画の母と父―区画整理とその推進
第4章 都市魅力と“消毒”都市―名古屋都心の路地空間の生成と消滅
第5章 “消毒”された都市空間の魅力創出にむけて
第6章 名古屋の二都物語
おわりに

第1章では名古屋は自己評価も他己評価もいずれも低い評価となっていますが、戦前から今日までの雑誌掲載記事を中心に、他都市と比較しながら分析することで、名古屋のイメージがどのように形成されていったかを明らかにしています。第2章では築城開始から今日までに名古屋が発展してきたエポックを5つの段階に整理していますが、いずれも内なる力と外からの力が混じり合い、時には反発し、時には融合して、新しい都市発展力を創出してきたを明らかにしています。第3章では名古屋の都市基盤の整備にあたって、戦前から戦後にかけて、「都市計画の母」といわれる土地区画整理事業を徹底して推進してきましたが、「区画整理の父」とでも呼べる、発想力豊かな4人のリーダーシップと努力によって、市域の7割近くが整備されたことを明らかにしています。第4章では第二次世界大戦の戦災により建物のほとんどが消失し、復興事業によって道幅を広げ、路地空間等を一掃する(これを“消毒”と呼んでいます)ことで、都市の防災性能の強化・向上、自動車社会への対応、都市機能の集積を可能とした反面、都市の魅力となる多様性をなくしてしまったことを明らかにしています。第5章では“消毒”された都市空間の魅力創出にむけて、国内外における街区内の魅力空間の導入や戦災復興によって生み出された豊富な公共空間を活用するなどを提案しています。第6章では二つの対抗するもの、あるいは近似するもの、比較されるものが数多くあり、その二つの個性のぶつかり合いが、名古屋を際立たせ、活力を生み、市民の愛着を育んでいるので、代表的な3つの対象を取り上げ、「二都物語」として読み解いています。
 著者自身も名古屋に来て半世紀を超えました。当初と現在とでは大きく様変わりしていますが、時間とともに、価値を増やして蓄積し、そこで生み出される物語を共有しながら、豊かに暮らしていくことができる都市にしていきたいものです。本書がそれを実現する一助になれば幸いです。
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