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「名古屋学院大学総合研究所研究叢書34」が発刊されました


名古屋学院大学総合研究所 研究叢書 34 の刊行
佐竹眞明著 『フィリピンと日本-戦争・ODA・政府・人々』 梨の木舎

名古屋学院大学総合研究所研究叢書34

この本は東南アジアの一国フィリピンと日本との関係について、筆者が日頃考えていることをまとめた本です。この本の内容は次のようなものです。
 はじめに
1.戦争
2.賠償協定と政府開発援助(ODA)
3.戦後日本との人流
4.ドゥテルテ、大統領選挙、マルコス政権と日本 
5.変わるフィリピン社会経済と近況
あとがき

まず、第2次世界大戦時の占領を取り上げ、日本軍がフィリピンの人々に対して、何をしたのか。なぜしたのか、を論じる。そして、戦後の日本政府による賠償協定、政府開発援助に触れる。その援助によって、何がフィリピンの人々に何がもたらされたのか。その問題点を踏まえ、何が望ましい援助か、考えている。そして、戦後、両国間の人流を取り上げ、特に1980年代から2000年代まで続いたフィリピン女性による「興行」出稼ぎを通じ、日本人男性との結婚増加がもたらしたものは何か、そして、現在、それらの夫婦はどんな状況を迎えているのか、論じる。
それから、フィリピンの近年の歴史に触れ、2016年ドゥテルテ大統領、2022年大統領選挙、そして、マルコス政権が生まれた。その間、フィリピンにおける人権問題などを不問にして、援助をし続けた日本政府。日本政府はそうした無責任な姿勢でいいのだろうか。最後に、変わるフィリピン社会・経済と近況に触れ、フィリピンは2020年コロナ対策でロックダウン(都市封鎖)がとられるまで、アジアでは中国に次ぐ成長を遂げた。BP(ビジネス・プロセシング)産業、観光業が盛んになり、海外から英語を学ぶ留学受入も盛んになった。経済面で東南アジアの優等生ともいわれた。
2022年、コロナ禍から抜け出たフィリピンは再び、観光客を入れ、経済も復活しつつある。確かに世界情勢(ウクライナへのロシアの侵略)から、食糧、原油の価格が上昇し、フィリピンの庶民は生活が苦しい。日本政府として、何ができるか。これまでのインフラ援助をつづけるか。そうではない、民衆の生活を立ち上げるための政策はできないものか。人々自ら何かできないか。そうした問題意識をもって、本書は終わっている。
筆者がこれまで1980年から一貫して43年間にわたり、取り組んできたフィリピン研究の歩みがあちこちに盛り込められてる。フィリピンと日本との関係が一番重要なテーマである。フィリピンに関心を持っている人に読んでもらいたい。日本の戦争責任、援助に関心を持っている人にもお目通しを請いたい。
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