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【夏季短期留学プログラム】シリマン大学 リハビリ研修


リハビリテーション学部 松田佑治講師から、夏季短期留学プログラムの様子が届きました。

【夏季短期留学プログラム】フィリピン:シリマン大学

出発~1日目

2023年9月2日(土)に本学の夏季短期留学プログラム【フィリピン:シリマン大学 リハビリ研修】が始まりました。

2日(土)、計7名の参加学生はネグロス島南部最大の都市、ドゥマゲッティの空港で、現地の教員と学生たちから温かい歓迎を受けました。
前日深夜の出発と早朝の乗り継ぎであまり寝ることができなかった学生もいたようですが、歓迎によりフライトの疲れは一気に吹き飛びました!
彼らと一緒に車で大学まで移動し、私たちはウェルカムパーティーに招かれ、現地の学生と楽しい時間を過ごしました。
パーティー終了後、シリマン大学の教員からのオリエンテーションも行われ、今後のスケジュールを確認しました。その後は自由時間で、早速現地の学生と出かけたり、一緒にスポーツを楽しむ学生もいました。

これからの10日間、さまざまな学びと未知の体験が待っています。このプログラムを通して、新たな知識を身につけ、素晴らしい出会いと経験を重ねながら、共に成長していきましょう!

ウェルカムパーティーの様子


2日目

ウェルカムパーティーから一夜明けた3日(日)は、午前中は自由時間としました。
学生の中には、ドゥマゲッティの街を走り回っているtricycle(トライシクル)を利用して、ショッピングセンターに行く学生もいました(tricycle は15ペソほどで乗車することができます)。

午後は、ドゥマゲッティの街のツアーです。現地のガイドさんに、ドゥマゲッティに来たら絶対に見ておくべきスポットを、車で案内していただきました。
コースは、ドゥマゲッティ国立博物館→セント・キャサリン・オブ・アレクサンドリア大聖堂→ ベルタワー→フードマーケット→ボリバード→お土産ショップ→ガイドさんお勧めのアイスクリームショップ→お勧めのケーキ屋の順番です(アイスクリームとケーキ屋は女子学生からのリクエストをかなえていただきました)。
ボリバードとは海岸線にそって南北に延びている大通りのことで、夜にはライトアップされて、とても美しい場所になります。
このボリバードに沿った道には、レストラン・バー・カフェが多く賑わっていました。
ドゥマゲッティで出会う現地の人々は、本当に温かい心の持ち主が多く、ツアーの中、とても親切な対応をしていただきました。

3日目

4日(月)は、午前中にシリマン大学内キャンパスツアーと副学長への訪問がありました。シリマン大学は、名古屋学院大学名古屋キャンパスと比べると、敷地も非常に大きいです。そのため、専用車に乗りながら学生ガイドに案内してもらいます。まず、学内にあるシリマン大学人類学博物館へ向かいました。そこでは、ネグロス島の歴史を学び、当時島への侵入者と戦った武器などを見ました。キャンパスツアーの後は、シリマンホールへ向かい、副学長から手厚い歓迎と激励を受けました。

午後は、いよいよ class observation です。学生たちが参加する授業は、Patient Care と Kinesiology(運動機能学)です。英語が苦手な学生が多いですが、講義内容は、実はすでにこれまでで習った範囲です。よって、背景知識を活かし、分からない英単語はメモをとったり、すぐに辞書で調べたりするなどして、全員本当に真剣です!!中でも、Kinesiology (運動機能学)の授業では、外転 abduction(アブダクション)と 内転 adduction(アダクション)がなかなか聞き取りにくく苦労したり、回外 supination / 回内 pronation などの専門用語も普通に飛び交います。そのため、学生同士で協力し、「え、これあれでいいんだよね?」「うん、そうだよ!」と、日本から持参した解剖学の教科書を見ながら、その都度確認し合います。

ただ、担当の先生が、模型や学生の手足を使って頻繁に操作して、難解な用語を一連の動作の流れで強く関連付けて説明していただけました。そのため、授業後の学生の満足度は高く好評でした。学生からも「関節可動域を自然に理解することができた」という意見もありました。

4日目

5日(火)は、午前中に、Therapeutic Exercise (運動療法)、Neuroanotamy (神経解剖学) の授業を受けました。そして、昼食後に、シリマン大学から車で向かったのは、 バレンシア(Valencia) という山の上の地区。 バレンシアは、community-based system に支えられています。医療費を政府が支援したり、行政が基金を集めたりして、clinic が運営されている制度のことで、ここでは患者は医療費が無料です。これは、日本にはない制度です。このバレンシアという地区は、もともと貧困者層が多く集まっている地区です。また、患者数も多いですので、PTの慢性的な人材不足ですが、シリマン大学の4年生が実習生として派遣されて大活躍しています。

今回は、訪問リハビリに我々も同席させていただきました。山を登り、患者さんの家に時間をかけてようやく到着すると、すでに汗がびっしょり。とてもとても暑いです!そして、家に入ると、部屋はかなり狭くクーラーもありません。その状況で、ベッドから動けない患者さんの評価とバイタルチェックを行うので、当然PTには体力も気力も必要になります。学生たちも、このような過酷な状況で見学をするのは初めてで、日本では絶対に見られないような光景を目の当たりにしました。そんな状況で、どうやってリハビリが行われているかを、しっかりと目に焼き付けた後、学生からcommunity-based systemに関する多くの質問が飛び交いました。

community-based system は、まさにここでしか得られない貴重な経験だったと思います。なぜ私たちは理学療法士を目指すのか。学生たちがもう一度原点に戻って考えることができるような機会だったのではないでしょうか。

5日目

6日(水)は、午前中に、Kinesiology (運動学、運動療法 8:00-10:00)、Geriatric PT (老人病学: 10:00-11:30 ) の授業を受けました。1限目の Kinesiology で話題になったのは、METs(メッツ)の覚え方です。METs とは運動強度を表す単位のことです。METs を覚えることは理学療法士を目指す学生にとっては、避けては通れない道...。さて、ここでも日本と同じように、Standing 1.4 – 2.0 / Wash shave 2.5 – 2.6 / ... と地道に覚えていくのかなと思いきや、担当の先生がいきなり"A whole new world"を歌い出しました(Disney Song です)。よく聞くと、METsの数値も歌詞にうまく組み込んでいます。みんなで何回も歌うことで、リズムにのって楽しく覚えよう!という活動でした。

そして、2限目のGeriatric PT は、実習形式の授業。名古屋学院大学の学生も現地学生とペアになり、バイタルチェックを行います。すでに日本でも習っているので、みなさんお手のもの... のはずが、やり方が少々異なる様子。この授業では、体温と脈を同時に測ります。また、血圧測定の際に用いる聴診器も、イヤーピースと耳管のところが、教員用と学生用に分かれているために(教員と学生が同時に聞くために)、学生が上や下の値を推測で言って誤魔化せないので、かなり緊張感を持って測定に取り組んでいます!さらに、血圧測定も、数字を正確に測るために、実習ではデジタル機器ではなくアナログを用いるそうです。

さて、お昼休みになると、シリマン大学リハビリテーション学部の創立記念パーティー(anniversary party) に招かれました。そこで待っていたのは、豪勢なお食事!!名古屋学院大学の学生は、みんな大喜びです。女子学生は、豚の丸焼き(フィリピンの文化で最高のおもてなしをするときに提供される料理)にやや驚きつつも、歌やダンスをみんなで踊ったり、恒例の写真タイムなどで、とても楽しい時間を過ごしました。

午後は、シリマン大学の近隣にあるNegros Oriental Provincial Hospital に訪れました。ここは、私立ではなく州立の病院。医療費は基本的に無料です。また、病院食も無料。よって、主に収入が少ない患者さんが訪れることが多く、ドゥマゲッティ以外の地区からも、数多くの患者さんが訪れる病院です。

ここでは、日本で見ることのできないような光景に出会いました。まず、薄暗い hallway (廊下)に溢れかえる患者さんたち。廊下にベッドが置いてあり、そこで点滴をしている患者さんもいます。なぜこんなことになっているかというと、病室がもうすでに満員で、入院や診察を廊下で待っているのです。その病室も日本でいう個室サイズの部屋に、2名の患者さんが入院しています。決して、病室は大きいとは言えません。また、病院も全体的に冷房が効いているとはいえず、かなり蒸し暑くて、学生はもう汗びっしょり。それでも、ここでどのようなリハビリが行われているかを、しっかりと目に焼き付けてきました。訪問後、学生からは「外来用のリハビリルームが思ったよりも狭かった」「日本のクリニックと同じ機械が設置されていた!」などの感想がありました。

最新の理学療法を学ぶのも重要ですが、今日の病院訪問のように、限られた土地とスペースと人材で、かつ多くの患者が来る中で、どうやりくりしているのかを見るのも、同じくらい重要なのかもしれません。異国の地で病院を訪問するという皆さんの貴重な経験が、将来なんらかの形で活きるといいですね!

6日目

残すところ、この研修もあと半分です。今日も午前中は、現地の授業に参加します。1限目は、Neurologic Physical Therapy で、講義形式です。stroke (脳卒中)、ischemic (虚血性) などの医療英語が飛び交います。また、Risk Factors for Recurrent Stroke(脳卒中再発のリスクファクター)として、hypertension (高血圧症)、obesity (肥満)、hyperlipidemia (高脂血症、脂肪過剰血)、heart disease (心臓病)、smoking (喫煙)、diabetes (糖尿病)など多くの要因があることを確認します。最近では、女性の方がstroke (脳卒中)の比率が、男性よりも高いとか。学生たちも、英語を辞書やスマホで調べながら、授業に食らいついていきます。

2限目は、演習科目。徒手筋力テスト(Manual Muscle Test(MMT))は学習済なのですが、固有受容性神経筋促通手技(Proprioceptive Neuromuscular Facilitation(PNF) ) はまだ習っていなかったようで、現地の先生から丁寧にやり方を教わりました。

午後は、病院訪問。今回は、リハビリテーション学部に隣接している Physical Therapy Free Clinic とシリマン大学内にある Silliman University Medical Center Foundation の2つの施設を見学させていただきました(日本の病院というと、白色の建物を真っ先に思い浮かべますが、ここフィリピンでは必ずしもそのイメージは当てはまらないようです。Silliman University Medical Center Foundation は黄色のビルです)ちなみに、シリマン大学の学生であれば、Medical Center での医療費は無料(外部の患者は有料)!

さて、Medical Center は、昨日訪れたNegros Oriental Provincial Hospital とは異なり、日本の病院に似ている様子。例えば、Traction room (牽引室) には、日本でも馴染みのある治療器具がありました。とはいえ、やはりリハビリ室は日本より狭いという意見も。見学中は、授業でお世話になったRina 先生をはじめ、シリマン大学のPT教員が、ほぼ付きっきりの状態で案内していただけました。特に、2つのICU、critical care unit, 血液透析室 (hemodialysis) の内部を含め、外科・産婦人科を含めた病院内のほぼ全ての科を見学することができました。

病院見学が終わり、控室へ案内されると、そこには美味しそうな料理とジュースが!学生たちも大喜びです。実は、9月8日は、World PT Day (世界理学療法の日) 。それをみんなで祝うために、病院側が用意していただけたそうです。「うまい」「美味しい」「もう夕ご飯いらんわ!」などの声が出ました。その後、みんなで恒例の記念撮影をして、本日の日程が終了しました。

Physical Therapy Free Clinic および Silliman University Medical Center Foundation の関係者および患者様、この度は大変貴重な見学の機会をいただき、本当にありがとうございました!

7日目

8日(金)。午前中は、いつも通り現地の授業に参加します。Neuroanatomy (神経解剖学) では、すでに習っていることも多いためか、担当の先生から質問されても、男子学生の一人が(日本の解剖学の教科書を見ながら)的確に解答して、先生から褒められます。そして、現地の学生も彼が使っている日本の解剖学の教科書に興味津々です。

なお、シリマン大学リハビリテーション学部でも、日本と同様に人体模型が使われています。しかし、僅かながら本物の頭蓋骨もあり、時には教員がそれを用いて説明をします。さらに、本物の人間の脳と硬膜も保存しているそうです!学生も、ビニール手袋を付けて、実際に触らせていただけました。何という貴重な機会でしょうか!学生らも、普段は人体模型しか見ていないので、「貴重な体験だった」「思ったよりも実際の脳は重かった」「感触は砂肝の表面だった」と目を輝かせています。ちなみに、シリマン大学のリハビリテーション学部の解剖学の授業でも、もちろん人体模型が中心で、医学部のように、本物のご献体を使えるわけではないそうです。ただ、ある時にたまたま医学部から譲り受けたことがあり、それ以降そのご献体をずっと大切に保存し、慎重に授業で活用しているという経緯があるそうです。

さて、午後になると、みんなでダーウィン地区に向かいます。ここは、5日(火) に訪問したバレンシア地区と同じく、community-based system に支えられています。よって、医療費も無料です(ただし、リハビリのお礼として、地元で採れたフルーツをPTさんに渡すという習慣があるそうです)。バレンシア地区と同じく、ダーウィン地区でも貧困層が多く住んでいます。また、周りを見渡すと、山、木、山 ... とかなりの田舎で、野良犬、野良猫、野良牛、野良鶏などがそこらを堂々と歩いています。ここダーウィンでは、廃墟になった病院をPTの拠点として使っており、外来患者は受け入れておらず、訪問リハのみとなります。診療は、まず一人のPTが患者の家を訪問して、今日の診療は可能かどうかをうかがいます。医療費が無料ということもあるためか、残念ながら直前で患者さんがキャンセルすることもよくあるからです(眠いからリハビリはまた今度という理由もあるそうです)。そして、患者さんからのその日のリハビリの確認が得られたら、全員で徒歩で患者さんの家に向かいます(今日だけは特別に途中まで車を使います)。途中、虫に刺されたり、牛の糞も踏みそうになりながら、何とかたどり着きます。あまり冷房がない暑い部屋の中でも、PTさんは懸命にバイタルチェックをしたり、リハビリを提供します。本当にここは体力勝負です。

午後の患者さんは一人のみでした。訪問リハが終わると、みんなで海に出かけました。実は、ダーウィンは有名なダイビングの穴場スポット。多くのダイバーが欧米からダーウィンの海岸に訪れます。しかし、本学学生の皆さんは、留学中のルールに「海での遊泳は禁止」が明記されているので、残念ながら海で泳ぐことはできません(泣)。その代わり、海岸でゆったりと散歩をしてくつろぎました。ちなみに、砂浜は白ではなく、黒色でした。

8日目

さあ、残すところあと4日になりました。本日、9日(土) は最も忙しい一日です。午前中は、シリマン大学が提携している病院(Allied Care Experts Hospital)を訪問しました。ここでも、ありがたいことに、リハビリテーション科をあげて、他の病院と同じように歓迎されました。特に、Dr. リン(整形外科医)さんからは、診察の合間にも、病院案内や食事の手配をしていただきました。また、現地のシリマン大学の実習生(4年生)との Care Discussion (患者の病気について、シリマン大学からの実習生がPowerPointでプレゼンする) に参加しました。さらに、未熟児で生まれたために、足に麻痺が残る女の子のリハビリにも立ち会ったり、Traction Room (牽引室) で、実際の患者さんのリハビリを行う様子も見学させていただいたりしました。

お昼は、病院の最上階の食堂で食べます。ありがたいことに、病院側がすでに食事を用意してくれています。しかも、豪華なお寿司とデザート付きです。窓から美しい景色を見ながら、楽しいひと時を過ごしました。なお、この日の一番人気はマンゴー寿司。フィリピンならではのアレンジで、意外とご飯に合うんです!

午後は、Twin Lake Tour です。地元のガイドさんに乗せられ、車で山を登ります。元々は、1000年前に、火山が噴火した後にできた湖だそうです。ここでは、珍しい鳥や草に出会うことができました。そして、救命具を付けて、ボートに乗って湖を周り、景色を楽しみます。

さて、帰りの車では、全員がスヤスヤお眠りモード。連日、かなりハードなスケジュールだったので、無理もありません。しかし、ゆっくりしている暇もなく、夕方 17時30分からは、anniversary party が始まります。

実は、本学生はシリマン大学リハビリテーション学部の anniversary party に招かれています。anniversary party とは、新入生たちが上級生や先生方と親睦を深めるために開催されるパーティーです(日本にはない文化ですね!)。ちなみに、シリマン大学では、8月15日から新学期が始まり、新入生は入学式のような行事は経ずに、いきなり教室で授業を受けにきます。その代わりに、こうした anniversary party が開催されるというわけです。

今年の anniversary party のコンセプトは、「ピンク、ベージュ、紫、青、黄色」の洋服。我々も事前に情報が入ったので、前日までに各自で大急ぎで、パーティー用の服をショッピングモールへ買いに出かけました。そして、いよいよパーティーです。豪華な料理やファッションショーなどのイベントだけでなく、みんなで曲に合わせて踊ったり、ダンスしたり、笑い合ったり、歌ったりしました(先生方も、ダンスがお上手です)!この日は、教員と学生が一体となって大いに楽しむことができました。このような行事があることで、新入生たちは、これから多くの課題や授業に立ち向かっていけるのだと思います。

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