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【卒業生の活躍】リハビリテーション学部 #2


卒業生が研究チームの一員として貢献した研究成果が学術情報誌「Nature」に掲載

カリフォルニア大学アーバイン校医学部 神経科学・解剖学科 博士研究員の共同グループによる研究「Dopamine facilitates associative memory encoding in the entorhinal cortex」が学術情報誌「Nature」に2021年9月22付で掲載されています。

◇本学卒業生の中川達貴氏(リハビリテーション学部2014年3月卒業、現・カリフォルニア大学アーバイン校医学部神経科学・解剖学科 博士研究員)が研究チームの一員として参加しています。

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本研究では、これまで不明であった「美味しい匂い」の記憶を作り出すメカニズムを明らかにしました。匂いの感覚は、鼻に入った匂い分子の情報が、脳の「嗅覚野」と呼ばれる部位で処理され、その記憶は、脳の「海馬」で行われます。この嗅覚野と海馬は、嗅内皮質(きゅうないひしつ)と呼ばれる記憶領域で情報の橋渡しをしています。本研究グループではこの嗅内皮質に着目し、匂いの記憶はどのように作られているのか検証しました。マウスが「匂い→砂糖水」という体験をすると、嗅内皮質の扇状細胞と呼ばれる神経細胞が連合記憶の形成を行っていることを発見しました。この際、新しい匂いを嗅いですぐに砂糖水がもらえると、脳の快楽物質として知られるドーパミンが嗅内皮質に放出され、このドーパミンによって匂いへの応答性を扇状細胞が獲得し、“連合記憶の定着化”が行われていることが明らかになりました。この結果は、嗅内皮質のこれまで全く知られていなかったドーパミンによる連合記憶機能を明らかにした発見です。

アルツハイマー病では匂いの感覚が初期に障害を受けることが知られています。さらに、嗅内皮質はアルツハイマー病で最も早く障害が始まる脳部位であることも知られています。本研究をもとに、今後アルツハイマー病で連合記憶が失われていく際の嗅内皮質の神経回路の病態が解明され、将来的には記憶疾患の治療法へとつながることが期待されます。
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■論文タイトル:
Dopamine facilitates associative memory encoding in the entorhinal cortex

■著者:
Jason Y. Lee, Heechul Jun, Shogo Soma, Tomoaki Nakazono, Kaori Shiraiwa,Ananya Dasgupta, Tatsuki Nakagawa, Jiayun L. Xie, Jasmine Chavez, Rodrigo Romo,Sandra Yungblut, Meiko Hagihara, Koshi Murata & Kei M. Igarashi

■掲載誌:
Nature volume 598, pages321–326 (2021)
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