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公開講座・講演会

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2013年度 活動報告



2014年3月8日
国々はグローバル時代をどう生きるか-国境無き時代への対応-

講師
  • 同志社大学大学院ビジネス研究科教授/浜 矩子 氏

2014年2月8日
「地(知)の拠点」整備事業 キックオフ・フォーラムin瀬戸

講師
  • 東海テレビアナウンサー/高井 一 氏(他)

「地(知)の拠点」整備事業キックオフ・フォーラム【瀬戸】開催報告

キックオフ・フォーラム

2月8日(土曜日)13時30分より、瀬戸蔵多目的ホ-ルにて、文部科学省「地(知)の拠点整備事業(大学COC事業)キックオフ・フォ-ラム瀬戸」を開催しました。雪が降り積もるあいにくの天候にも関わらず、120名を超える多数の方がご来場くださいました。
本フォ-ラムは、瀬戸市と名古屋学院大学が今まで以上に連携し、地域が抱える身近な課題を共に解決していくための“開始宣言(キックオフ)”として開きました。今後、「地域商業」「歴史観光」「減災福祉」という3つのまちづくりを中心に、各取組みを進めていきます。
当日は、東海テレビアナウンサーの高井一氏による基調講演のほか、パネルディスカッションや本学学生による活動紹介パネル展示など、瀬戸市のまちづくりに関して活発な意見交換が行われました。

なお開会に先立ち、増岡錦也瀬戸市長よりご挨拶がありました。「地(知)の拠点整備事業をきっかけに、学生から年配者までが一緒になって知恵を絞り、この街の都市計画を考えることで、素晴らしい瀬戸の形を創っていきたい」との抱負を述べられました。

報告(水野 晶夫/経済学部教授)

報告

「名古屋学院大学COC事業の取り組みについて」
本学学生が運営するカフェ「マイルポスト」が、2002年に瀬戸市銀座通り商店街にオープンし、地域商業の活性化に貢献した実例をとおして、大学、市民、行政が一緒になって創っていくプロジェクトの可能性を紹介しました。
今後は、瀬戸キャンパスのスポーツ健康学部とリハビリテーション学部が、レクリエーションスポーツや健康運動教室などを通じて「減災福祉」を推進すること、「歴史観光」の分野は「地域商業」と連携し、スマートフォンを活用した瀬戸歴史文化案内システムなどを考案中との説明がありました。

基調講演(高井 一 氏/東海テレビアナウンサー)

基調講演

「地域の宝をまちづくりに生かす-まちの現場を歩いて-」
担当番組で色んなまちを歩いてみて、個性が明確で住む人が元気なまち、いわば宝をみつけたまちの存在に気づき、豊田市小渡町の夢かけ風鈴まつり、長久手市の手作り行灯、幸田町の凧揚げまつり、豊田市小原地区の四季桜などを紹介されました。
また、足助町、犬山市、岐阜県郡上市などの成功例もとりあげ、「まちの宝は、歴史・文化・産業・地形など先人の営みの積み重ねの中にある。宝にするのは無理だと思い込まずに、大胆なことを実行することが大事。住む人の心を満たす宝の要素は、いくらでもあるので皆が共有できるものをどう気づき、見つけるかは、地域の人の決断と勇気。ひとりの思いが地域を動かす。」と講演されました。

パネルディスカッション

パネルディスカッション

コ-ディネーターの 曽我良成教授より、パネリスト4名に“3本の柱のまちづくり”を専門的な立場から伺い、活発な意見交換・要望が行われました。

<パネリスト>
山田真司氏 (瀬戸市交流活力部 部長)
鈴木政成氏 (㈱中外陶園代表取締役、瀬戸市まるっとミュ-ジアム観光協会会長)
水野教雄氏 (陶芸作家)
後藤昭子氏 (瀬戸市市民活動センタ-)
木船久雄 (本学学長)

<コ-ディネ-タ->
曽我良成(本学瀬戸キャンパス地域連携委員会委員長/リハビリテーション学部教授)

山田氏:「瀬戸市がめざすまちの姿として「交流」「安心・安全」「学び」を軸に、具体的な行動分野として「市民の交流と活力」などの取組みに力を入れている。具体的には、“まるっとミュ-ジアム”による賑わいと活力の創出、就業環境の整備、市民文化活動の支援とやきもの文化の伝承、そして都市の活力の源となる市民活動の推進である。」

鈴木氏:「瀬戸市の観光力アップに向けて、たとえば、瀬戸のお雛様めぐりや岩屋堂の紅葉ライトアップといった観光資源に結びつけて焼きものを買ってもらうという方向に変革しなければ、現状は大変厳しい。名古屋学院大学の力を是非、貸していただきたい。
「地(知)の拠点」整備事業 キックオフ・フォーラムin 瀬戸

水野氏:「陶器、磁器、セラミックも瀬戸は豊富にある。こうした資源豊かな地域で働いていることを誇りに感じている。ただ、高井さんの話を通し、職人の感性だけではなく、使い手という側面からも改めて意識したい。」

後藤氏:「瀬戸市市民活動センターは、市民の力でまちを豊かに、元気にするために、市民の自発的な市民活動をサポートしている。人・リーダー的存在が大切。市民力を活用し、生かしながら行政・企業・市民が一体とならないと事業は成功しない。」
パネリストからの事例報告後、フロアの高井一氏も交えて、瀬戸市の「地域の宝」について自由闊達に議論が展開されました。
  • 尾張瀬戸駅周辺は、「見て楽しい」「まち歩きをしておもしろい」という印象が残る街にするための施設・道路整備が必要。
  • 使い方、使い手を育てる情報発信、例えば器を生かす料理コンテストなど。
  • 割れない陶器や瀬戸でしか入手できない品物の開発。
木船学長:「愛知県はものづくりの地域や産業・観光で語られている。若者的な表現では“クール・カワイイ”という味付けの工夫をしながら地域に愛され、頼られるシンクタンクの役割を担っていきたい。」と地域の期待に応えるため今後の本学の姿勢、決意を述べられました。

稲垣隆司理事長の閉会挨拶により無事、終了いたしました。
予定時間を30分以上延長してのフォーラムとなりましたが皆様、長時間熱心にペンを取られ真剣な表情で臨んでおられました。参加者の皆様、積雪の中ご協力を賜り有難うございました。

当日は全国的な大雪となりました

学長挨拶

【基調講演】高井 一 氏

パネルディスカッション
(左から曽我教授、木船学長、山田氏)

パネルディスカッション
(左から鈴木氏、水野氏、後藤氏)

本学理事長より閉会の挨拶

会場となった「瀬戸蔵」のお雛さま

PROJECT&Nを担う学生たち!

2014年1月11日
「地(知)の拠点」整備事業 キックオフ・フォーラムin 名古屋

講師
  • 東海テレビアナウンサー/高井 一 氏(他)

「地(知)の拠点」整備事業キックオフ・フォーラム【名古屋】開催報告

キックオフフォーラム

1月11日(土曜日)13時30分より、名古屋キャンパス白鳥学舎翼クラインホールにて、地(知)の拠点整備事業(大学COC事業)キックオフ・フォーラムが開催され、207名の方に来場いただきました。
文部科学省の「地(知)の拠点整備事業」は、大学がキャンパスの立地する自治体と連携し、地域の課題解決に取り組むものです。本フォーラムは、本学の取組を市民の皆さんに広くご理解いただき、今まで以上に名古屋市と連携してまちづくりを進めていく“開始宣言(キックオフ)”として開催されました。
当日は、COC事業に取り組む学生による、あつた餃子・はちみつ試食会、セグウェイ試乗体験会、震災ボランティア展示なども行われ、多くの人で賑わいました。

報告(水野 晶夫/経済学部教授)

報告

商店街との連携によるまちづくりの成果として、学生の社会人基礎力向上など教育上の意義に加えて、経済産業省の「がんばる商店街77選(瀬戸・銀座通り商店街)」、「がんばる商店街30選(名古屋・日比野商店街)」に選定された。
今回のCOC事業は「地域商業」「歴史観光」「減災福祉」の3つの側面から地域の課題を解決し、地域の質を高めることを目指している。1年次から4年次まで地域志向の授業科目を配置したカリキュラム改革を実行に移しつつある。

基調講演(高井 一 氏/東海テレビアナウンサー)

高井 一氏

「地域の宝をまちづくりに生かす-まちの現場を歩いて-」
担当番組で267ヶ所の地域を歩いてみて、個性が明確なまち、人が元気なまちがあることに気づいた。活性化に成功しているまちに共通しているのは、先人の営みの積み重ねの中にあり、皆が共有できて楽しくなる、いわば「地域の宝」があること。
地域と連携する大学の役割・機能として、調査・企画・調整、リーダーや後継者育成、キャンパス空間の開放が期待される。

パネルディスカッション

パネルディスカッション

報告、基調講演の後のパネルディスカッションでは、地域の課題、まちづくりにおける大学連携の成果、大学への期待などについて、大学、行政、地域の立場から、活発に意見交換が行われました。

<パネリスト>
入倉憲二 氏(名古屋市副市長)
杉本義彦 氏(四間道・那古野界隈まちづくり協議会)
伊藤紀子 氏(日比野商店街振興組合 副理事長)
松坂浩史 氏(文部科学省大臣官房総務課法令審議室長)
木船久雄(本学学長)

<コーディネーター>
井澤知旦(本学経済学部教授)

木船:本学は地域性と国際性を兼ね備えた大学である。COC事業を通じて、地域の力もお借りして学生をしっかり育てていく。大学、地域、行政の三者にそれぞれメリットがあるような活動を目指したい。

松坂氏:COC事業は地域のための大学をつくることを目的としている。学生全員が地域のことを学んでほしいと考えている。補助期間終了後も事業を継続してほしい。

入倉氏:名古屋市次期総合計画において「魅力と活力にあふれるまち」を柱の一つとしている。政令指定都市の中で、名古屋市は大学・短大数、学生数とも上位であり、大学と連携したまちづくりに期待したい。
「地(知)の拠点」整備事業 キックオフ・フォーラムin 名古屋

杉本氏:四間道・那古野界隈まちづくり協議会では名古屋学院大学はじめ4大学と連携してまちづくりに取り組んでいる。堀川周辺のまちづくりについて、大学の叡知に期待したい。

伊藤氏:2007年4月の名古屋学院大学移転後、日比野商店街と大学が連携して20以上のプロジェクトに取り組んでおり、組合員数が上昇に転じるなど活性化している。

【基調講演】高井 一氏

パネルディスカッション
(左から井澤、木船、松坂氏)

パネルディスカッション
(左から入倉氏、伊藤氏、杉本氏)

【閉会挨拶】宮木哲也氏
(名古屋市熱田区長)

近藤一磨氏
(日比野商店街振興組合理事長)

木船久雄(本学学長)

あつた白鳥はちみつの
抽選会を行いました

4Kテレビで熱田区の魅力を動画放映

セグウェイ試乗体験会

あつた白鳥はちみつ試食会

あつた餃子試食会・はちみつ
クッキーとコーヒーの販売

震災ボランティア展示

2013年12月7日 音楽で奏でるクリスマス

講師
  • おしゃべりピアニスト ひらめ/平松 八江子 氏

クリスマスファミリーコンサート『音楽で奏でるクリスマス』を開催しました。

なごやかなステージを繰り広げる平松 八江子 氏

12月7日(土曜日)14時より、名古屋学院大学ファミリーコンサート『音楽で奏でるクリスマス』(主催:地域連携センター、共催:熱田区まちづくり協議会)が開催されました。

今年度で2回目を迎える本コンサートは、子どもたちに音楽のある楽しい時間をすごしてもらいたい、というコンセプトで企画されており、今年の第一部は、“おしゃべりピアニスト ひらめ”こと平松八江子さんをお迎えしました。ピアノと歌と楽しいおしゃべりによる、だれも
が楽しめてほのぼのとするステージが繰り広げられました。平松さんの美しい歌声と、たしかな演奏、そしてぬくもりとユーモアあふれるトークに参加者は惹き込まれました。
第二部では、「NGUウィンドオーケストラ」による、迫力ある演奏をお楽しみいただきました。音楽総監督の熱田敬一先生によるユーモラスなトークによって進められ、聴きなれたクリスマスソングもオーケストラをお客様に感じていただけたことと思います。2014年4月から本格始動
する前のお披露目演奏として、聴きごたえのある素晴らしい内容でした。

また、キリスト教センター福井主事と扮装した文芸部の皆さんによって繰り広げられた《クリスマスのお話》では、『世界で一番最初にあったクリスマスって?』というテーマで、興味深いお話をしていただきました。最後に、お待ちかねの“サンタさん”の登場により子どもたちの
目はサンタさんにくぎ付け、喜びも最高潮となり、ひとりひとりに手渡されるプレゼントを大事そうに抱える姿は、ほほえましいものでした。

平松 八江子 氏 プロフィール

  • 愛知教育大学卒業
  • 「0歳前から120歳まで音楽大家族!」をモットーに、マタニティ、幼児教育、高齢者教育など、さまざまなお客様向けのピアノ&うた&トークのコンサートを各地で開催。
  • 鶴舞公園、白鳥庭園での野外ライブのほか、地域に根ざした自主企画「ひらめのほのぼのコンサート」(2014年6月 20周年第60回記念コンサート開催予定)も好評である。
  • 自作歌CD「まい・あるばむ」「きみの手」リリース。
  • 童謡、唱歌を歌う「わおんのへやうたう会」主宰。
  • 現在愛知県立知立高等学校、名古屋学院大学音楽学校講師。

熱田 敬一 氏 プロフィール

  • 10歳よりクラリネットを始め、中学校から故大橋幸夫氏に師事。国立音楽大学在学中にフランス政府国費留学試験に合格し、1971年に渡仏。国立ルーアン音楽院にてジャック・ランスロ氏に師事。在学中パリレオポルドベランコンクール一等賞受賞。1972年、同院を一等賞で卒業。1978年第47年日本音楽コンクール(NHK、毎日新聞社主催)3位入賞。
  • フリーの演奏家として日本フィルハーモニー交響楽団、東京都交響楽団、NHK交響楽団はじめ多くのオーケストラに客員として参加。1985年~2009年5月名古屋フィルハーモニー交響楽団団員。
  • 現在、コンセルヴァトワールATUTA、アンサンブルセルメールを主催。名古屋音楽館講師、名古屋学院大学ウィンドオーケストラ音楽総監督。

子どもたちもステージを楽しみました

NGUウィンドオーケストラによる演奏

『世界で一番最初のクリスマスって?』

サンタさん登場!

2013年12月1日 震災から私たちは何を学ぶことができるのか

講師
  • 東北学院大学副学長/佐々木俊三 氏(他)

第2回 名古屋地区 震災ボランティア学生交流会を開催しました。

学生交流会

12月1日(日曜日)、本学白鳥学舎・翼館にて「第2回 名古屋地区 震災ボランティア学生交流会」を開催しました。

この交流会は、名古屋地区の震災ボランティア活動をしている学生同士の情報交換と、相互交流を促進するものとして、昨年2012年度より名古屋学院大学主催で行っているものです。今年度は、合計10大学からの参加がありました。
第1部の学生ワークショップでは51名の学生が、それぞれのグループに分かれ、今後の自分達の活動について意見を交わしました。話し合いを通じて単に意見の交換をするだけでなく、自身とは異なる背景を持つ学生の意見を理解し、それを受け入れて話を展開する様子が見られました。

第2部の公開講演会には、一般の参加者も含め109名の方が参加し、震災に関する話者の言葉に耳を傾けました。
講演会では「震災から私たちは何を学ぶことができるのか」(佐々木俊三 東北学院大学副学長)、「熱田区の防災まちづくりと大学への期待」(宮木哲也 熱田区長)、「大学と地域ができること」(木船久雄 本学学長)の3題が話され、震災をどのように乗り越えて行くのか、ということを考えさせられました。
また、その後のフリートーク懇親会では、講演会でお話し頂いた佐々木先生を囲んで、参加者同士で和気あいあいと親睦を深めました。

2013年11月4日 紛争地に、生きる選択肢を。平和構築と女性と子ども

講師
  • 認定NPO法人日本紛争予防センター理事長・株式会社JCCP M取締役/瀬谷 ルミ子 氏

公開講演会「紛争地に、生きる選択肢を。平和構築と女性と子ども」が開催されました

ご講演中の瀬谷 ルミ子 氏

11月4日(月曜日)、クラインホールにて、外国語学部国際文化協力学科企画・運営による公開公演会『紛争地に、生きる選択肢を。平和構築と女性と子ども』を開催し、瀬谷 ルミ子氏(認定NPO法人日本紛争予防センター理事長・株式会社JCCP M取締役)にご講演いただきました。貴重な写真や資料を見せていただきながら、過酷な状況の中で活動を続けてこられた瀬谷さんの体験談や提言を、一般参加者に混じって多くの学生さんたちが聴き入る姿が見られました。
講演の要旨は次のとおりです。

瀬谷 ルミ子氏(認定NPO法人日本紛争予防センター理事長・株式会社JCCP M取締役)/略歴
1999年 中央大学総合政策学部卒業
2001年 英ブラッドフォード大学 紛争解決学博士号取得。その後国連PKO、外務省、NGO職員としてルワンダ、アフガニスタン、シエラレオネ、コートジボワール等で勤務。
2007年 4月、日本紛争予防センター事務局長に就任。
2009年 NHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」出演。
2011年 ニューズウィーク日本版「世界が尊敬する日本人25人」に選出。日経ウーマン・オブ・ザ・イヤー2012準大賞受賞。
2012年 朝日新聞出版AERA「日本を立て直す100人」に選出。エイボン女性年度賞大賞受賞。7月より日本紛争予防センター理事長に就任。

外国語学部国際文化協力学科企画・運営 公開講演会 要旨
「紛争地に、生きる選択肢を。平和構築と女性と子ども」

2013年11月4日(月曜日)15時00分~17時00分
名古屋キャンパス白鳥学舎翼館クラインホール【参加者 130名】
【公開講演会・要旨】
瀬谷氏は、紛争後の社会では何が必要であるのか、これまでに自身がどのような活動に取り組まれてきたのかを中心に、講演された。
そもそも紛争地では、衣食住を含む様々なものが不足する。しかし、紛争後の平和構築において、重要でありながらも支援の担い手がいないのが、現地の安全を確保する分野である。例えば、元兵士の武装解除。兵士から武器を回収することに加えて、元兵士が新たな社会で生活していくための研修プログラムなどが実施されている。元兵士のなかには、子ども兵士も含まれる。子どもは、洗脳や誘拐で兵士にされてしまったり、親が殺されてその報復のために自ら兵士になったりする。紛争後には、彼らへの心のケアがとくに必要となる。

そのほか、法整備や警察機能の確立といった治安の改善が必須である。そのうえで、まずはBHN(Basic Human Needs)となる衣食住などの確保、中長期的には人々の自立的な生活の確立、その後は加害者・被害者含めた住民間の信頼の醸成が求められる。

現在の瀬谷氏は、JCCP(日本紛争予防センター)をベースに活動されている。講演では、ケニアと南スーダンでの活動が取り上げられた。まずケニアでは、5年前に大統領選の実施の際に民族間の対立が強調され、スラム地区など貧しい地域を中心に大きな暴動が発生した。JCCPでは、暴動が落ち着いた後、なぜ暴動が発生したのかを住民と考えることになった。なかには、自分たちが煽られていたことにさえ気づいていないこともあったと言う。また、暴動の際に暴力を受けた被害者をどうケアするのかが課題となった。そこで現地の人々をカウンセラーとして育成するプログラムを始めていく。その後、カウンセラーは専門性を身につけ、コミュニティのリーダーにもなっていった。こうした活動に加えて、スラム地区内の異なる民族の人々がともに参加する協働掃除プロジェクト、地方の農村地域では家畜の感染症予防や交配に関する民族集団の垣根を越えた協同作業などにも取り組まれており、民族間の和解が具体的に進められている。

また南スーダンでは、内戦で親をなくしたり家庭での貧困により路上生活をするストリートチルドレンや、売春に関わってしまう子どもたちがいる。そうした子どもたちに、社会的教育として、しつけや社会常識を教えるプログラムも行った。そこでは衛生的な生活の重要性や薬物や売春の危険性などを根気強く教え、子どもたちの社会復帰を支援している。加えて、一定の年齢より上の子どもや若者に対しては、職業訓練プログラムも進んでいる。具体的には、調理関係の職業訓練がある。南スーダンでは、内戦が終わり独立をしたのち、ビジネス目的の外国企業や国際支援を担う外国の組織や団体が大量に入ってきており、外国人の数が急増している。彼らを顧客とするレストランやホテルが数多く建てられているが、そこで働けるスキルを持った現地の人材が圧倒的に不足している。そこで、それらの施設で働くような人材の育成を進めることとなり、実績も積み重なってきた。こうした成功事例は、紛争後に生きる青少年にとって目指すべきロールモデルのひとつにもなっていると言う。

JCCPの活動を通して、瀬谷氏は、紛争地で生きている人々が選び取ることができる選択肢を増やす活動に今後も取り組んでいきたいと話され、講演会は締めくくられることになった。

上記の内容だけではなく、講演では、瀬谷氏が海外の紛争地という現場に行くことになったきっかけや紛争地で仕事をしているときのやりがいなどについても話された。聴衆には学生も多く含まれており、彼らにとって貴重なメッセージとなった。瀬谷氏の講演は、現場での豊富な経験を分かりやすく伝えるものであり、ソフトな語り口のなかに、強い熱意を感じるものだった。この講演が多くの聴衆を魅了したことは、間違いない。

豊富な資料や写真を見ながら講演が進められた。

熱心に聴き入り、メモをとる学生たち。

2013年6月15日
グローバル社会に求められるリーガルマインド-銀行経営者の視点から-

講師
  • 株式会社三井住友フィナンシャルグループ取締役会長/奥 正之 氏

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