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国際文化学部

経験豊富な教師陣


中国語学と、目で見る音声学

樋口 勇夫 教授

専門は中国語学(中国語を対象とした言語学)で、特に音声方面の研究をしています。
中国の農村に3ヶ月間住んで、中国人研究者もまだ調査したことがなく、どんな声調(高い/低い/上り/下りなどの高さアクセント)・母音・子音が、幾つあるのかさえわかっていない方言を調査して、国際音声記号([ə ɔ ʌ ɛ ŋ ʃ ʒ]など)と漢字で記述し、著書『臨汾屯里方言研究』にまとめました。
中国語の共通語では、4種類ある声調の組合せ4×4=16通りのうち、変調は「第3声(低い調子)+第3声」の組合せの時だけ、前の第3声が第2声(上り調子)に変調する、という1通りしかありません。
私が調査した方言では、5種類ある声調の組合せ5×5=25通りが、全ての組合せで変調し、しかも、同じ組合せでも複数通りの変調結果があったり、逆に、異なる組合せでも同じ変調結果になったりして、最初はその法則がなかなか掴めなかったのですが、データが増えていくにつれて、まるでカメラのピントがだんだんハッキリ合っていくかのように、ある時点で、「こういうことか!」と、変調法則を発見できた時、言語学の醍醐味を味わいました。
最近は、中国人と日本人学習者の中国語音声を、音声分析ソフトで音響的に分析し、視覚的に比較することによって、中国語学習に応用する研究や、中国語の南方方言である広東語でJ-POPをカバーした曲が、オリジナル曲と比べて楽音の高さを変えてある箇所が、広東語歌詞の漢字の声調の高さとどの程度関係があるか、という研究をしています。
※先生が手にしているのは先生が執筆した著書『臨汾屯里方言研究』と中国の伝統的な古典演劇「京劇」の楯です

音声学の授業で使う、日本語母音の音声分析

審査員を務めた、学内中国語スピーチコンテスト

ゼミ活動の一環として、コロナ前には、地元・熱田区や、名古屋港水族館のパンフレットを、ゼミ生たちが中国語訳し、パンフレット中国語版を作成しました。
URL:https://nguacjp-my.sharepoint.com/:f:/g/personal/a9406_ngu_ac_jp/En87XU3y3XRErX2OkWlnjR8Bh5eAxYSC9fjM3Sw6MtqZlw?e=FxO5bu

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【樋口教授の略歴】
早稲田大学第一文学部中国文学専攻卒業
慶應義塾大学大学院文学研究科中国文学専攻博士課程単位取得退学
北京大学中文系留学
1994年 名古屋学院大学外国語学部 着任
2015年 名古屋学院大学国際文化学部 着任
ハワイ大学東アジア言語・文学学部中国学科にて在外研修
その他、慶應義塾大学・愛知県立大学にて、非常勤講師。

受験生・保護者へのメッセージ

中国語は入学後ゼロから始める人が大多数です。文法はヨーロッパ語のような語形の変化がなく、語順だけなので楽です。漢字の発音を表わすローマ字の読み方から、1人ずつ発音指導するので、GW明け頃には、簡単な中国語文で会話できます。
毎回授業後に書いてもらう「授業コメント」に、「○○ができるようになって嬉しかった。」「中国語が楽しくなってきた。」など、「嬉しい」「楽しい」という感想が増えると、私も嬉しく思います。
大学には、高校までの各教科で学ぶ範囲からは想像もつかなかったような、刺激的な学問の様々な科目が用意されています。私自身も、学部生時代には「中国語」に、大学院生時代には「音声学」に、それぞれ夢中になりました。皆さんも、入学後、「こんなに面白い分野があるんだ!」と、新たな学びに出会えることを期待しています。

どうしたら、民族や人種で差別することがなくなるのだろう?

増田 あゆみ 教授

大学時代に旅行した旅先での経験に発した疑問:「どうしたら、民族や人種で差別することがなくなるのだろう?」、これが、国際政治学を専攻する私の研究テーマの基盤にあります。このテーマについては、世界中で、様々なアプローチがなされています。私は、政治学のアプローチ方法を使って、マイノリティの人々の目線からこのテーマに取り組んでいます。大学院生の時にまだ、目新しく、難解であった「多文化主義・多文化主義政策」に、注目をしたのは、従来のアプローチとは違う期待感が、当時の政策導入国のなかで見られたからです。オーストラリアの多文化主義政策を政治学の視点から、マイノリティの目線で分析することは、政策の分析をより厳格にすることになりました。もちろん、政治力学のなかで政策の方針は変わり、理想とは違う形で多文化主義は変容します。しかし、その変容が、社会の変容を反映していること、さらに、国際的な環境にも影響を受け、また与えていることがわかります。私は、各国の民族政策をとおして、世界の動きをとらえること、および、最初の疑問「どうしたら、民族や人種で差別することがなくなるのだろう?」に、可能な限りの回答が示せるように研究することを目標にしています。

オーストラリアの多民族性の象徴的な写真の一例として

シドニーのロックス地区:オーストラリアの移民の始まりの地点(イギリスからの移民の到着地点)

【増田教授の略歴】
神戸大学大学院法学研究科後期課程単位修得卒業
シドニー大学大学院社会政策研究科研究留学
フレッチャースクール セミナー(Fletcher School of Law and Diplomacy with Harvard University)に日本代表団として参加
シドニー大学多文化主義研究所客員研究員、チャイニーズヘリテージセンター(シンガポール)客員研究員、
シンガポール国立大学先端高等研究所客員研究員、南山大学人類学研究所客員研究員
1997年名古屋学院大学商学部教養科目:国際政治学国際関係論担当として着任
2015年名古屋学院大学国際文化学部着任

受験生・保護者へのメッセージ

目覚ましく変わり続ける世界の中で、どう生きるかを自分で見つけ出すことが、大学生の大きな課題になると思います。その課題に真剣に向き合い、生きる力をつけていけるような進路の選択ができれば、学生時代は充実したものになると思います。各々のやり方で、その課題に取り組むことができるように、失敗を恐れずに、多くの経験に積極的に挑戦していけるような環境にいることが学生の特権であると思います。このことを、十分に認識し、挑戦を続ける学生を歓迎します。大学の研究会(ゼミ)では、課題への挑戦をアカデミックなアプローチをとおして経験していきます。

学ぶために英語を使い、その中で英語も学んでいく

工藤 泰三 准教授

中学・高校で計18年間英語教員を務めたあとに本学の教員になりました。前任の高校では国際教育推進委員会という部署を立ち上げ、ユネスコスクールへの加盟、学校設定教科「国際科」の設置、持続可能な開発のための教育(Education for Sustainable Development: ESD)の推進、高校生国際ESDシンポジウムの開催などに携わってきました。
その時から取り組んできたのが、「英語を単なる学習対象として学ぶのではなく、何らかの学習内容を学ぶために英語を使い、その中で英語も学んでいく」という教育アプローチです。これは内容言語統合型学習(Content and Language Integrated Learning: CLIL)と呼ばれるもので、ヨーロッパから世界に広がり、今では日本でも多くの先生方が取り組んでいます。現在私が研究対象としているのは「グローバル・シティズンシップ(地球市民性)を高めるCLIL授業のあり方」で、世界中に存在するさまざまな地球的課題について英語を用いて学んでいくことで、英語の力とともに、それらの課題について「自分ごと」として向き合い、考え、解決に向けて行動できる力を学生の皆さんに身につけてほしい、という願いのもと授業研究を続けています。
※先生が手にしているのは、先生が執筆された著書です。

スタディツアーでインドネシアの子どもたちと

日本CLIL教育学会発表

【工藤准教授の略歴】
米国Saint Michael’s College MATESL Program(第二言語としての英語教授法修士課程)修了
中学・高校の英語科教諭、筑波大学生命環境学群非常勤講師等を経て 2014年 名古屋学院大学外国語学部 着任
2015年 名古屋学院大学国際文化学部 着任
外国語教育メディア学会(LET)理事、日本CLIL教育学会(J-CLIL)関西支部副支部長 など

受験生・保護者へのメッセージ

「外国語は何のために学ぶのですか?」と聞かれたら、おそらく多くの人は「世界の人々とコミュニケーションをとるため」と答えるでしょう。しかし私は、もう一歩踏み込んで考えたいと思っています。外国語を通して世界のいろいろなことを学び、世界には自分たちとは「異なるもの」が多くあることを知り、そしてそれらを受け入れ、さまざまな背景を持つ人々と友好的な関係を築き、平和な世界の構築に貢献する…そんなことを意識してみると、普段取り組んでいる英語学習への見方も変わってくるのではないでしょうか。皆さん、世界の平和のために、私たちとともに学びましょう!

無限への憧憬

山本 淑雄 准教授

私の研究対象はドイツ・ロマン主義文学です。ロマン主義は18世紀末から19世紀前半にかけて主にヨーロッパで起こった文芸思潮ですが、とりわけドイツにおいて発展しました。ロマン主義を表す「ロマンチック」という言葉は日本語でもふつうに使われていますが、その特徴は、夢や空想、憧れ、予感といった人間の内面、想像力の世界を重要視するところにあります。この傾向は現実逃避と非難されることがありますが、ロマン主義者は想像力にあえて現実を変革する力を見出そうとします。彼らにとって想像力は創造力に等しいのです。彼らは外的な現実と戦いながら、内的な理想を実現させようと奮闘しました。もともとドイツには理想主義の根強い伝統があります。宗教改革者マルティン・ルターは「明日世界が滅びようとも今日私はリンゴの木を植える」という言葉を残しています。ふつうに考えれば、世界の滅亡とともにすべてが消滅することになります。明日世界が滅ぶなら、今日リンゴの木を植えても無駄です。しかし理想主義者はそう考えません。外界は滅びようとも、内界には不滅の永遠性があると考えるのです。ルターの場合、それは信仰でした。ロマン主義者にとって永遠は「無限への憧憬」にあります。憧憬とは「あこがれ」です。時間や空間を超えた世界への「あこがれ」に取り憑かれた作家たちの研究を私はしています。
※先生が手にしているのはゼミで作成したうちわです

ドイツ、ワイマール国民劇場前のゲーテ像とシラー像

スイス・ベルン、パウル・クレーの墓

【山本准教授の略歴】
 名古屋大学大学院文学研究科独文学専攻博士後期課程満期退学
1997年 名古屋学院大学外国語学部着任
2015年 名古屋学院大学国際文化学部着任

受験生・保護者へのメッセージ

伝染病、戦争、自然災害など、世界を覆う暗い影は絶えることがありません。ドイツの文豪ゲーテは同時代のロマン主義者たちには批判的立場を取っていましたが、理想主義の伝統は共有していました。彼は臨終の際に「もっと光を!」と言ったと伝えられています。今日の一般的(詩を理解できない散文的)解釈では、これは部屋が暗かったので、「もっと明るくしてくれ」と言ったということになっています。しかし、ゲーテが求めたのは「内なる光」、内界を照らす理想の光だと私は信じています。この「光」を絶やさないための教養が、大学における勉学の意味であり、同時に未来への希望なのではないでしょうか。

歴史と自分との関係を考えていく

吉田 達矢 准教授

中東地域(西アジア)の歴史、より詳しくは、オスマン帝国史を専門としています。支配領域が中東地域の西半分、東欧の大半、北アフリカにまで及んだオスマン帝国の歴史は、様々な民族・宗教・言語・文字などがある程度「共存」していた社会の構造や、幾度も内憂外患の危機に直面しながらも数百年(日本史では鎌倉時代後半から大正時代に相当)も存続しえた要因など、いまだ十分には明らかになっていない、魅力的な研究テーマに満ちています。また、本大学に着任してからは、「少しでも地域貢献したい」と思い、近代から現在までの名古屋と中東地域やイスラーム教徒(ムスリム)との関係史についても研究を進めています。
ところで、私は主に「世界史」関連の科目を担当していますが、近年、歴史学や世界史の存在意義が問われています。改めてそれらについて考えてみると、歴史的ルーツを持たない人はいませんし、現代世界のあらゆる問題も歴史的背景を抜きにして考えることはできません。つまり、歴史(過去)との繋がりがない人や事件は存在しないといえます。逆にいえば、歴史はどこにでも存在し、世界史との繋がりも身近で幾らでも見出せます。更には、誰もが歴史や世界史の一部であり、それらの担い手でもあるのです。歴史や世界(史)と自分との関係を考えていくことが、歴史学や世界史の醍醐味のひとつであるでしょう。
※先生が手にしているのは名古屋トルコ日本協会での講演の際にもらった記念品です

トルコ歴史協会図書館閲覧室

現在の名古屋モスク

【吉田准教授の略歴】
明治大学大学院文学研究科史学専攻博士後期課程修了、博士(史学)
明治大学文学部兼任講師、埼玉学園大学非常勤講師
名古屋学院大学経済学部講師などを経て、2015年に名古屋学院大学国際文化学部に着任

受験生・保護者へのメッセージ

ありきたりですが、現代世界において重要なことは「他者との関係」と考えます。他者とかかわりを持たなければ、失うものは少ないので平穏な人生を送れるかもしれませんが、得るものは少ないでしょう。一方で、他者と関係を持つと、失うものが出てくるかもしれませんが、人生がもっと楽しくなる可能性が出てきます。今後どのような人生を歩みたいかは、多様な教員や仲間と4年間の大学生生活を過ごすなかで考えていけばいいでしょう。そして、その途中で「対立」が生じるにせよ、悲観することはありません。「対立と共存する考え方や方法」を学び、試行錯誤する場所が大学だからです。
※先生のそばに置かれているのはイスラームの聖地メッカが描かれている置物です

歴史を学ぶことで見えてくるもの

鹿毛 敏夫 教授

歴史を研究したり学んだりすることはなぜ必要なのでしょうか?
2009年に、私はカンボジアの世界遺産アンコール・ワットの現地調査を行いました。寺院の石の柱に、500年前の日本人が書いた墨書文字が残されており、その一字一句を解読することで、戦国~江戸時代の日本人が、はるか東南アジアに船で渡って何を考え、何を祈っていたかを理解することができるのです。そうして、古文書や遺跡の調査で明らかになったことを論文にまとめ、学会発表することが、歴史研究者の使命です。特に近年では、その成果が日本史だけでなく、世界史の文脈のなかでどう位置付くかを明確にしなければなりません。以前に参加したリスボン国際ワークショップでは、私たち日本人に、ポルトガル、ドイツ、フランスなどの研究者も交えて、究明された歴史事象をどう解釈すべきか、英語でのディスカッションを行いました。
一方、どんな優れた研究も、一部の専門家しか読まない論文のままでは、社会貢献とは言えません。そこで私は、一般や学生向けの図録や読み物の執筆、テレビ時代劇の時代考証にも関わってきました。NHK正月時代劇「大友宗麟~心の王国を求めて~」(遠藤周作原作、2004年放送)の時代考証では、プロデューサーやディレクターの方たちと綿密な打ち合わせをして台本やセットのチェックをし、ロケ地収録では主人公のおかれた時代背景を説明して主演の松平健さんに演じてもらいました。
これまでに書いた本のなかで、学生の皆さんへのお勧めは、『月のえくぼを見た男 麻田剛立』『アジアのなかの戦国大名』『描かれたザビエルと戦国日本』の3冊。現在は、科研費グループの代表として、室町時代の日本からアジア諸国に大量輸出された「硫黄」の歴史を研究中です。
※先生が手にしているのは、阿蘇山で採集した「硫黄鉱石」です。

現地調査したアンコール・ワットの石柱

ロケ収録後、松平健さんたちと一杯!

【鹿毛教授の略歴】
九州大学大学院人文科学府歴史空間論専攻日本史学専修(博士後期課程)修了、博士(文学)
2015年 名古屋学院大学国際文化学部 着任
東京大学史料編纂所附属画像史料解析センター 共同研究員、名古屋大学中世史研究会 代表委員、広島史学研究会 評議員、大分市文化財保護審議会 委員など

受験生・保護者へのメッセージ

ゼミでは、前近代(特に鎌倉・室町・戦国・江戸時代)の日本と諸外国・諸地域との交流の歴史を、特にアジア史と世界史の広がりのなかで分析・考察し、その歴史的関係性を理解して国際社会に羽ばたく人材を育てます。古文書や古絵図の解読などの難しい活動がありますが、2017年度のゼミ旅行では2泊3日で京都文化博物館・修学院離宮・下鴨神社などで現地研修も行いました。「日本アジア交流史」「日欧交流史」「日本地域史論」などの、高校までとは異なる国際文化学部特有の科目を通して、国際的な日本史についてともに考えていきましょう。


多様な異文化体験から日中関係の将来と東アジアの共生について考える

黄 名時 教授

私は異郷異国の風土・生活・町並・歴史文化遺産に関心があります。若いころに中国に長期留学し北京や上海でホームステイをした経験があり、またアメリカ・ロサンゼルスにも1年半住んでいました。東京で商社の通訳・翻訳業に携わって日中間を行き来して、中国各地を何カ月も踏査した時期もありました。ほかにカナダ・台湾・ホンコン・マカオ・韓国・シンガポール・マレーシア・タイ・ラオス等々を訪れ、各地の多様な異文化を体験してきました。
主な研究対象は、中国のことばと伝統文化、日中対照言語・日中比較文化です。特に、日本文化形成の原点にもなる遣唐使を派遣していた時代の中国文化・文化財の研究に取り組んでいます。また日頃、漢詩の鑑賞と漢詩作りをしており、全国漢詩大会の審査員長をつとめたこともあります。語学では、北京語の方言研究をテーマによく中国へ現地取材に行きます。終始、中国の歴史・社会・言語・文化を対象とした総合的学際的研究によって中国をトータルに捉え、さまざまな角度から多面的にアプローチすることによって巨象の全体像を把握することに努めています。また常々「中国大陸から見た日本」「日本人の中国観」「外国人の日本観」の観察をし、将来の日中関係と東アジアの共生について考えています。
※先生が手にしているのは、道教の招福神と海獣葡萄鏡(唐代古銅鏡)です。

【黄教授の略歴】
東京大学大学院人文社会系研究科博士課程中途退学(文学修士・東京大学)
1989年 名古屋学院大学外国語学部 着任
2015年 名古屋学院大学国際文化学部 教授
大学院中国語学専攻主任・国際文化協力専攻主任を歴任し、2017年より外国語学研究科長に就任。
京都華僑総会 会員、『國際漢學集刊』中國社會科學出版社(陝西師範大學國際漢學院・陝西師範大學漢學研究所 編) 編輯委員 など

受験生・保護者へのメッセージ

国際文化に関心があり、日本と世界の架け橋をめざす学生を求めています。特に欧米・東アジア・東南アジアの異文化の学習に興味をもつ意欲のある人を歓迎します。本学部では音声の徹底指導で、聴けて話せる外国語、使える語学が学べます。また、外国人留学生との交流と実践的知識の修得を重視しています。異文化学習の魅力を知ってもらうため、留学生たちとの相互学習を通して様々な国の文化に触れ、各国との繋がりを深めていきます。異文化間のコミュニケーション・トレーニングによって発想の違いを学び、より広い視野で物事を捉えられるようになって将来、国際社会で活躍できる人材になります。最終目標として、多言語のできる、異文化を理解した国際的視野をもつグローバル人材の育成をめざしています。
本学部では教員の引率で欧米・中国・東南アジア諸国への短期留学に参加して、現地で多様な文化体験ができます。大学では異文化関連のサークルをはじめ様々なクラブ活動もあるので、何でも好きなものにチャレンジしてください。そして、資格を持てば将来就職に有利になるので、英語検定・中国語検定など種々の資格試験にも挑戦してほしいと思います。


インドネシアと日本で「平和」を考える

佐伯 奈津子 准教授

大学時代に独裁政権下のインドネシアを旅し、人権や自由が著しく制限されている状況を目の当たりにして、生涯インドネシアと関わっていきたいと考えるようになりました。この20年間、継続的に足を運んでいるのはアチェ州です。アチェ州は、2004年末のスマトラ沖地震・津波で未曾有の被害を受けたことで知られていますが、同時に30年にわたって内戦のつづいた地域でもあります。2005年に和平合意が結ばれ、いまは平和になっていますが、紛争後の復興、過去の人権侵害の真相解明など、課題は多く残っています。このアチェをフィールドに、紛争を予防し、持続可能な平和をつくっていくためには何が必要かを考えるとともに、紛争被害女性への支援をおこなっています。
最近は、東海地域に暮らすインドネシア人への支援もはじめました。愛知県には、日本でもっとも多い約5300人のインドネシア人が暮らしていますが、行政や教育・医療などの現場において、インドネシア語での相談や通訳支援はほとんどありません。ゼミの学生とともに、日本語教室や生活相談を継続的に実施しています。
※先生が手にしているのは、アチェの伝統的漁具のミニチュア版。
支援の記念に津波被災者がつくってくれました。

【佐伯講師の略歴】
上智大学大学院外国語学研究科地域研究選考博士後期課程単位取得退学
上智大学、青山学院大学、成蹊大学などの非常勤講師を経て、2015年名古屋学院大学国際文化学部着任
インドネシア民主化支援ネットワーク、インドネシアの開発に関する国際NGOフォーラム(INFID)運営委員、アチェ人権支援委員会(SCHRA)運営委員、名古屋NGOセンター政策提言委員会委員、愛知県弁護士会通訳人(インドネシア語)など

受験生・保護者へのメッセージ

自分とは異なる文化圏で暮らす人びとと出会い、おもしろい、楽しいと思うこと。これまで想像もしなかった、たとえば貧困などの問題にふれて、悲しい、悔しいと思うこと。このような心を動かされる体験をすることが、学びの原点です。それはまた、自分がなにに関心をもち、なにをしたいのか、自分の人生をみつけることにもつながります。日本で唯一の本学の国際協力学科には、1年次から東南アジアなど途上国を訪問し、実際に国際協力の現場を体験する「国際協力実践論」という授業があります。自由な時間をもちやすく、また自由な発想のできる学生時代に、ぜひ多くの現場体験をしてください。


ヒトは生まれつきヘビの怖さを知っている?

柴崎 全弘 准教授

専門は比較認知科学で、ヒトの知性がどのように進化してきたかや、さまざまな生息環境に暮らす動物がどのような行動や学習能力を進化させてきたかに興味をもっています。本学に着任する前は、愛知県犬山市にある京都大学霊長類研究所で、ヘビ恐怖の性質について、ヒトとニホンザルを対象に研究していました。パソコンの画面上にさまざまな動物や植物の写真を同時に呈示し、特定の写真を見つけさせるという視覚探索課題を行うと、ヒトはヘビの写真に対して素早く注意を向ける性質をもっていることが分かりました。ヘビを素早く発見する能力は生まれつき備わっているものなのか、それとも学習によって獲得されるものなのかを調べるには、ヘビという動物の知識をまったくもたないヒトにヘビを見せて反応を確かめればよいわけですが、そのようなヒトはなかなか見つかりません。そこで、実験室で生まれ育ち、ヘビを一度も見たことがないサルで視覚探索実験を行った結果、そのようなサルでもヘビに対して素早く注意を向ける性質をもっていることが分かりました。この実験結果をまとめた論文は高い評価を受け、北米心理学会からThe Frank A. Beach Comparative Psychology Awardを受賞しました。
この他にもさまざまな研究をしてきましたが、ヒトにみられる性質の進化的起源を探究する研究を一貫して行っています。
※先生が手にしているのは、学会で受賞された際に授与された楯です

日本心理学会での研究発表

視覚探索課題に取り組むサル

【柴崎講師の略歴】
名古屋大学大学院情報科学研究科 メディア科学専攻 認知情報論講座 博士後期課程単位取得退学(博士・情報科学)
日本学術振興会・特別研究員(京都大学霊長類研究所・PD)、名古屋工業大学 非常勤講師(人間行動学)、愛知大学 非常勤講師(認知心理学)などを経て
2015年 名古屋学院大学国際文化学部 着任

受験生・保護者へのメッセージ

私は怠け者です。いつも締切り間際になって慌てて宿題に取り組むような学生でした。しかも、締切りを過ぎても宿題を受け取ってくれる優しい先生に対しては、遅れて提出することもしばしばでした。怠け者は優しい先生のもとではその優しさにとことん甘えてしまうのです。怠け癖を自分の意志力だけで直すことは至難の業です。しかし、怠け者でも厳しい先生のもとではきちんと締切りを守る人間に変身できるのです。国際文化学部には優しい先生もいれば厳しい先生もいます。怠け者や自分に甘い人は、あえて厳しい先生の授業を受けたり、ゼミに入ったりすることで、ダメな自分と決別することも可能なのです。入学後の皆さんの成長に期待しています。


マイノリティーを見守る 国際開発協力のエキスパート

長田 こずえ 教授

世界と向き合う国際文化学部は数年前に新設されました。同時に私自身も比較的、新任の大学教員です。2014年の5月まで、約30年間、さまざまな国際機関、ILO(国際労働機関)、GATT/WTO(国際関税機関)、国連のアラブ(西アジア)やアジアの地域事務所、国連東チモールPKO(平和維持軍)、国連NY本部(経済社会理事会)、ユネスコのパキスタン事務所などに勤務し、国連の国際開発協力に携わってきました。学生諸君と同じで、大学では今年で4年生の比較的ルーキーです。
現在、内戦、難民、テロで話題のイスラム諸国に15年以上勤務、生活をしてきました。ジュネーブ、バグダッド、ヨルダン(アンマン)、レバノン、東チモール、バンコク(タイ)、ニューヨーク、パキスタン(イスラマバード)などを、国連職員としてカバーしてきました。どの国も良いところと悪いところがありますが、どこに行っても友人とネットワークに恵まれ楽しい生活でした。イスラム教徒の友人も数多くいます。現在は、日本とハワイにベースがあります。

国連時代、実践的な開発協力を自然に学び、異文化・多文化について考察する最高のプラットフォームに恵まれました。グローバル社会における日本を見つめなおすと同時に、今自分の課題として、日本におけるグローバル社会化を見つめなおしています。 私の研究は、主として、障害者や女性などを包括するINCLUSIVEな形の開発手法を模索する、実践的で参加型の研究です。特に、中東や南アジアなどイスラム教圏における貧困地域で、マイノリティーの人々がどのようにして、社会開発と社会改革の担い手として貢献しているのかをドキュメントしていく作業を継続しています。 
※先生が手にしているのは、中国のドラです。

タイのスタディーツアー:障害者のNGO訪問

ユネスコ代表としてパキスタン教育大臣と会談

【長田教授の略歴】
米国 Johns Hopkins University 国際問題高等研究所からMIPP(公共政策学修士号)を習得
カルフォルニア州立大学から教育学修士号習得
日本福祉大学より開発学博士号取得
国連ニューヨーク本部 経済社会理事会支援課、シニア経済担当官、国連ユネスコ パキスタン事務所 所長などを経て、2015より本学に所属

受験生・保護者へのメッセージ

異文化・多文化の理解について皆さんと一緒に考えていきたいと思います。30年間、英語をコミュニケーションとして働いてきたので、学生諸君には「国際コミュニケーション」のできる日本人になって欲しいと願っています。国内外のフィールドワークなど実践的に学べる場を作りたいですね。英語は単なる言語です、その言語を使って何を伝えるのでしょうか?何を語りかけたいのか?一緒に学びましょう。留学の相談にも一人の経験者としてのります。将来、国連、国際NGO、NPO、政府のODA事業などに就きたい人の為の、気軽に話せる人生の先輩になりたいと思います。将来、国際開発分野で働きたい人はぜひ授業で会いましょう。大学に入学する前に、英語だけはある程度確実に身につけて欲しいですが、国際コミュニケーションの手段として、また、途上国に興味を持てるように、ドキュメンタリー映画などを鑑賞して欲しいです。国連やNGO、開発援助団体に興味のある人は大歓迎です。


ヒマラヤを仰ぐ宗教世界の魅力

宮坂 清 准教授

私の専門は文化人類学で、とりわけ宗教に関わる実践に関心があります。学生時代に海外とりわけインドを旅しましたが、そうするなかで、ぐいぐい自分を引き込んでいくその魅力の中心に宗教の世界があることに気づきました。
大学院ではインド最北端のヒマラヤ山中にあるラダック地方でフィールドワークを行い、いわゆるシャーマンが守護神を憑霊して行う病いの治療に焦点をあてて研究しました。彼らはその口で病者の体内から「けがれたもの」を吸い出すことにより「治療」します。強烈に怪しげなその営みが、私たちが考えがちな個人に限定された「医療」の枠を超え、地域社会を支える民俗的な価値を体現・再生産する実践でもあるとわかったときは、目が覚める思いがしました。
ここ数年とりわけ熱心に追いかけているのは、ラダックのチベット仏教徒によるナショナリズムです。このところダライ・ラマ14世は毎夏ラダックを訪れ、宗教やエスニシティを口実にした不和を戒めて歩いていますが、それはつまり、それだけ不和の種があるということです。チベット仏教徒たちは自らが他者への慈悲を重んじる大乗仏教の信者であることに誇りをもち、その誇りを中心に結束し、皮肉なことに、その結果しばしば他者とりわけムスリムと対立してきました。そのジレンマがどのように成立したかを解き明かしたいと考えています。
※先生が手にしているのは、ラオスの正月に地上に降臨する、福をもたらす神様「プーニュー」です

吸い出しを行うラダックのシャーマン

ヒマラヤのヒンドゥー寺院のブラーマン

【宮坂准教授の略歴】
慶應義塾大学大学院社会学研究科社会学専攻後期博士課程 修了
財団法人国際宗教研究所宗教情報リサーチセンター 研究員、立教大学社会学部 兼任講師などを経て
2013年 名古屋学院大学法学部 着任
2015年 名古屋学院大学国際文化学部 着任

受験生・保護者へのメッセージ

インドは長らく「貧しい巨象」のイメージで捉えられてきましたが、昨今はその目覚ましい発展ぶりから、政治経済に注目が集まっています。今後はその文化にも目が向いていくことでしょう。改めて見つめなおしてみると、インドはアジアでも有数の歴史と伝統をもつ巨大な文化圏であり、いまなお、現代日本に暮らす私たちには考えられない価値や思想が息づいています。これまで私はインドのヒマラヤ地方に足を運びその宗教文化を学びながら、「生きる」ということの意味について深く考えさせられ続けてきました。
異文化を学ぶことに限ったことではありませんが、何かを懸命に学んでいると、ときに自分の存在を揺さぶられるほどの人や経験に出会うことがあります。学生のみなさんの好奇心と感受性を刺激し、そうした学びの喜びへの橋渡しができればいいなと考えています。

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